「助けたい」と監禁、矛盾捜査=窓閉ざし携帯や靴没収―女児保護30日で1週間

大阪市住吉区の小学6年女児(12)の誘拐事件で、女児と伊藤仁士容疑者(35)=未成年者誘拐容疑で逮捕=が出会った経緯や、5日半にわたる監禁の様子が分かってきた。
伊藤容疑者は「相談に乗り助けようと思っただけ」と容疑を否認する一方、逃げられないよう携帯電話や靴を没収したとされる。女児が栃木県小山市で保護されてから30日で1週間。大阪府警は供述との矛盾を追及する。
伊藤容疑者は10日ごろ、ツイッターで女児に突然接触。「せつじろう」と名乗り、非公開でやりとりできる機能を使ったとみられる。女児は「家や学校が嫌だ」と周囲に話していたという。
「半年くらい前に来た女の子がいる。しゃべり相手になってほしい。うちに来ない?」。容疑者が誘い、2人は17日午前、女児宅近くの公園で初めて会った。在来線を乗り継ぎ、約430キロ離れた小山市の容疑者宅に向かった。スマートフォンは道中で没収され、通信に必要なSIMカードを抜かれたとみられる。
木造2階建ての自宅には18日午前0時ごろ到着。そこには、茨城県の女子中学生(15)がいた。伊藤容疑者は女児に「千葉から来た『きな』ちゃん」と紹介、3人の生活が始まった。
住宅は、窓のシャッターが下ろされ、外から中の様子は見えなかったとされる。女児と中学生は1階の8畳の和室で就寝。女児は同じ階のリビングでテレビやパソコンが使え、捜索されていることも知った。食事はチャーハンや焼きそば、ホットケーキなど。女児は「1日1食程度」、入浴は「2日に1回程度」と説明している。
「いつでも帰っていい」。伊藤容疑者は女児にそう伝えたと供述する一方、「靴やリュックサックを捨てる」と告げ、スマホと同様に没収。偽物とみられる銃弾を示し怖がらせるなど監禁状態に置いたとされ、供述と行動に食い違いがある。
府警の家宅捜索では、靴とリュックは未発見だが、リビングからはSIMカード3枚が見つかった。1枚は女児のものだが他の所有者は不明だ。
女児は23日午前10時ごろ、伊藤容疑者らが寝ている隙に脱出。約3時間半後、約800メートル離れた小山市内の交番に駆け込んだ。靴は履いておらず、全身が雨でぬれていた。
府警幹部の一人は「在来線での道中や容疑者宅滞在中に女児がどんな心境に置かれ、なぜなかなか逃げられなかったのか。不明な点が多く、解明はこれからだ」と話している。