関東に上陸した台風としては最強クラスとなった台風15号は、朝の通勤・通学ラッシュを直撃した。首都圏の全てのJR在来線は9日、始発から「計画運休」を行い、駅には運転開始を待つ人らであふれた。
JR荻窪駅(東京都杉並区)では、午前8時ごろから中央線などが順次運行再開の予定だったが、同駅付近で竹が倒れ、安全確認のため8時過ぎになっても運転を見合わせた。「運転再開はいつになるのか」「振り替え輸送はやっていないのか」などと、駅員に詰め寄る乗客の姿も見られた。
構内には人があふれ、平常運行の丸ノ内線のホームもごった返した。普段は中央線で出勤しているという杉並区内の男性会社員(32)は、「今日は丸ノ内線で行こうと思うが、すごく混雑していて乗りたくない」と困惑気味。東京都武蔵野市に住む団体職員の男性(53)は「(台風は)昨日から分かっていたから仕方ないが、振り替え輸送をやってほしかった」と話した。
東京メトロ東西線と西武新宿線との乗換駅であるJR高田馬場駅(新宿区)でも、運転再開を待つ人で構内はごった返した。
杉並区の女性会社員(25)は「(会社へ行くのに使う)埼京線も止まってるし、いつになるのか」とため息。台風の接近を受けて、昨日は高田馬場駅近くに住む友人の家に宿泊したといい「ちょっとでも(会社の)近くにいてJRだけでも動いていたら大丈夫だと思っていたが、意味がなかった」と苦笑した。
駅近くのタクシー乗り場にも、人があふれた。横浜市にある会社に向かうため1時間半ほど待っていた東京都小平市の男性会社員(35)は「立ちっぱなしで疲れた」と疲労をにじませた。
近くの喫茶店には運転再開を待つ人が集まり、満席状態に。相席を呼びかけていたスタッフは「普段はこんなことはない」と驚いた様子だった。