福井県敦賀市の大規模温浴施設「敦賀きらめき温泉 リラ・ポート」(2002年開館)が前事業者からの指定管理業務の引き継ぎを巡り揺れている。現事業者は17年7月、前事業者から引き継ぎを断られたまま暫定的に運営を始め、損害金も発生していると主張。事態を重く見た市議会が今年9月、地方自治法に基づく調査特別委員会(百条委)を設置し、市に不適切な対応がなかったかなどを調査中だが、現事業者は「経営は悪化するばかり」として、撤退も視野に入れる。【高橋一隆】
水増し疑惑が浮上
問題を巡っては、市が17年6月、事実上倒産状態となった前事業者の指定を取り消し、18年4月から現事業者が指定管理業者となった。市の指定管理募集で示された前事業者の赤字額は14年度が12万5489円、15年度が29万7434円、16年度が1141万7005円。この数字を見て、現事業者は経営再建可能と判断した。
ところが、指定を受けた後、現事業者が過去の経営資料を調べたところ、前事業者が入場者数を水増ししていた疑惑が浮上した。
市の対応ちぐはぐ
百条委の調査とは別に、担当の市観光部は10月、前事業者が残していたパソコンの中から経営に関する復元データなど約300ページ分の関係書類を現事業者から受け取り調査。しかし、翌日には「粉飾決算のおそれはない」と現事業者に回答した。
一方で、市は現事業者の後を追う形で疑惑について警察に相談を始めた。ちぐはぐな対応に、現事業者の市への不信感は募るばかりだ。
厳しい運営
現事業者が指定を受けた初年度の決算は5900万円の赤字だった。現事業者は11月8日付で、市に指定管理料(今年度約6940万円)の増額を求める文書を提出した。しかし、今のところ市に指定管理料を見直す気配は感じ取られない。
現事業者は、毎月400万~500万円の赤字が出る経営状態といい「市がまともに協議に応じないまま2年が過ぎた。このままでは経営は続けていけない」と頭を抱える。
「市は前事業者の経営を精査しないまま新たに指定管理の募集をした。市にだまされた」と憤る現事業者。損害賠償を求めて提訴することも検討する。
リラ・ポートには温泉のほか、天然芝のグラウンドゴルフ場が併設されていて、利用者は年間約15万人。市内観光の目玉施設であるほか、静岡大学、敦賀温泉病院と協力した認知症研究のためのデータ取得施設にもなっている。市民の間では、存続署名活動の動きが出始めている。