西日本豪雨(昨年7月)の被災者のため開発されたウェブサイト「まちケア」(https://machicare.jp/)が、今秋台風の被害を受けた被災地で活用されている。災害ゴミの収集場所や再開した店舗の位置などが一目で把握でき、被災者のほか、ボランティアにも重宝されている。
開発したのは、西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町地区出身で、避難所運営の支援に当たった高知県立大大学院の神原咲子教授(公衆衛生・災害看護学)ら。地区では当時、入浴施設の無料開放や炊き出しが実施されていたが、その情報の周知方法が課題となっていた。避難所の掲示板にチラシを張るケースが多かったが、自宅で生活をしている被災者には伝わらないこともあったという。
そこで神原教授は、行政保有データの活用を研究する一般社団法人「データクレイドル」(倉敷市)の大島正美理事に相談。昨年7月25日、「まびケア」として運用を始めた。
掲載内容は当初、道路の通行止めの情報などだったが、薬局や飲食店の営業時間、無料法律相談会、ペットの一時預かり場所など、ボランティアから寄せられる情報を次々と追加していった。被災者の間で「わかりやすい」と評判になり、土地勘のない県外からのボランティアにも「被災者をスムーズに案内できた」と高評価を得た。神原教授は「情報を一目で把握でき、必要な支援を受けられる一番近い場所を知ることができた」と振り返る。
今年9、10月、東日本を立て続けに台風が襲った。ボランティアのために現地入りした知人から相談を受けた神原教授らは、今年9月に千葉県館山市版、10月には長野市版と宮城県版を開設。サイトの名称を「まちケア」とし、寄せられる情報を反映していった。台風15号で長く停電が続いた館山市版ではスマートフォンの充電が可能なスポット、宮城県版では台風19号で断水が続いた丸森町の給水場所の情報が多く集まった。長野市版と宮城県版には、誰でも情報を寄せられるよう「情報投稿フォーム」も設けた。
神原教授は「被災者が必要とする情報は刻一刻と変わるので、どんどん新しい内容に更新できるウェブの特性が役に立つ」と指摘する。
今後は、真備町地区版を発展させ、浸水リスクを示した地図上にガソリンスタンドや薬局などの場所を示した新たなサイトを作る予定。大島理事は「サイトを見ることで、平時でも『ここは避難所だけど水につかる可能性があるから、豪雨の時はこちらに逃げよう』と判断することができる。住民が防災・減災について考える材料を提供したい」と話している。【林田奈々】