米航空宇宙局(NASA)の探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が昨年8月の打ち上げ後、太陽に2回接近して観測した成果が6日までに英科学誌ネイチャー電子版に発表された。太陽から吹き出す「太陽風」と呼ばれる電離したガスの流れには高速と低速の2種類あるが、低速の太陽風は赤道近くの小さい「コロナホール」から吹き出していることが分かった。
太陽は水素の核融合で熱く燃え、本体(光球)は約6000度だが、上層のコロナはガスの対流と磁場の相互作用で約100万度の高温となり、明るく輝いている。コロナホールは暗い穴のように見える部分で、太陽の南北両極付近にある大きなコロナホールからは高速太陽風が吹き出すことが知られていた。
太陽風の電離ガスは電子や水素イオン(陽子)などで構成され、コロナホールから外に向かう磁力線に沿って吹き出している。接近観測では、磁力線が数秒から数分間、S字状に大きく蛇行する現象も見られた。太陽に約3200万キロまで接近すると、太陽風の吹き出す方向に太陽の自転の影響が観測された。
パーカーは楕円(だえん)軌道を回っており、太陽に計24回接近する計画。接近距離は探査史上最も短く、コロナが高温となり、太陽風が吹き出す詳細な仕組みの解明が期待される。
磁場が強い黒点付近で「フレア」と呼ばれる爆発が起きると、大量の電離ガスや高エネルギー粒子、放射線が放出され、全地球測位システム(GPS)や無線通信・放送、航空機乗務員の被ばく線量などに影響することがある。観測成果はこうした影響を評価する「宇宙天気予報」の精度向上にもつながる見込み。