アフガニスタン出身者に広がる怒りと嘆き=「砂漠を緑に」「大きな損失」―医師銃撃

アフガニスタン復興に命をささげ、凶弾に倒れた中村哲医師(73)。「砂漠を緑に変えた」「大きな損失」。多大な功績を残しただけに、国内のアフガン出身者らにも、テロへの怒りと失った悲しみが広がっている。
「人道支援の神様。言葉では言い表せないほど尊敬していた」と話すのは、アフガンから日本に帰化した高野沢治春さん(54)だ。中村さんが現地代表を務めたペシャワール会の活動報告などの翻訳に携わり、中村さんともたびたび顔を合わせた。「信じられない」と肩を落とした。
高野沢さんは「中村さんは栄養失調や感染症の予防には十分な食料と水が重要という考えに基づき、水源確保に取り組んでいた」と絶賛。「砂漠のような場所を豊かにした。危険な地で支援してくれたと思うと心が痛む」と話した。
京都大で学び、静岡県内で医院を開業するレシャード・カレッド医師(69)も親交があった一人。「残念でたまらない。アフガニスタン人の一人として申し訳ない」と悲嘆に暮れる。
中村さんと志を同じくし、現地で支援活動を行うNPO法人「カレーズの会」理事長を務める。「医療のみならず、水対策なども考えてくれた。やり残したことがあるだろう。大きな損失だ」と惜しんだ。
36年前に来日し、都内で貿易商を営む江藤セデカさん(60)は、「命を懸けて砂漠を緑に変えてくれた。川には先生の愛情が流れている。感謝しかない」。腰が低く誠実な人柄をしのび、涙を流した。
文具や衣類をアフガンに送る支援を続ける江藤さんは、現地で誘拐や強盗被害に遭いそうになった経験があるといい、「そんな怖い所で人の命を救い、町をつくってくれた。テロは絶対に許さない」と怒りをあらわにした。
日本国際ボランティアセンターによると、現地では追悼集会が開かれ、「尽くしてくれた人を守れなかったことが悔しい」などと多くの人が嘆いているという。