世界の貧困、紛争地域での支援活動を援助する国際機関「国連プロジェクトサービス機関」(UNOPS)が来夏、アジアの拠点として神戸市に事務所を開くことになった。貧困や福祉、防災など国際的な課題解決のため、革新的な技術を生み出す起業の支援に特化して活動する。市や県は「先端技術を持つ企業の誘致につながる」と期待を寄せている。【春増翔太】
「神戸は震災の復興に技術革新をうまく取り入れた経験があり、良い既存の取り組みもある。世界の課題解決のため、互いに協力して活動できることを願う」。11月29日、神戸市の久元喜造市長、井戸敏三知事と相次いで面会したUNOPSのグレテ・ファレモ事務局長兼国連事務次長は、事務所開設に向けて協力するための合意書にサインし、笑顔を見せた。
UNOPSは、各国や国際機関からの依頼を受け、途上国や紛争地域などが抱える課題解決のための取り組みを支援する組織で、本部をデンマークに置く。イラクやアフガニスタンで人工知能(AI)を使った人道支援のコールセンターを開設し、西アフリカのシエラレオネでドローンを使った震災被害の調査をするなど80カ国以上で活動してきた。援助は昨年だけで2000億円規模という。
昨年からは「持続可能な開発目標(SDGs)」のため、最先端技術を導入する起業支援に特化した事務所の開設を世界15カ国で進める。神戸の事務所は、アジア唯一の拠点として5人ほどの専門スタッフが常駐。世界的な課題解決に挑む起業者を1年ごとに15社ほど募り、国連事業への参加を目指す。
国内外の起業家にとって、巨額の事業に参入できるチャンスになり、新しい技術はビジネスに直結するため、UNOPSとの協働は大きな魅力だ。有望な企業が集まる可能性が高く、神戸市の多名部重則・新産業課長は「そのまま神戸に残ってくれれば素晴らしい」と期待する。
神戸市は2015年から新ビジネスの起業支援に力を入れてきた。米国の巨大投資ファンド「500スタートアップス」と提携した講習会の開催や起業者への補助など、ビジネス開拓の街を目指している。この取り組みが評価された形で、事務所設置の打診も今年9月にUNOPS側から市に寄せられたという。
事務所は、開設を地元自治体が担い、運営は民間からの支援でまかなう。今後、市と県は、JR三ノ宮駅前に一昨年開いた県の「起業プラザひょうご」などを候補に場所を選ぶ。