国会議員に10日、冬のボーナスが支給された。10月末に「政治とカネ」を巡る疑惑で閣僚を辞任するなどし、9日の臨時国会閉会まで姿を見せなかった菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相、河井氏の妻で参院議員の案里氏の自民党議員3人にもそれぞれ規定の金額が支払われた。3人とも歳費やボーナスを受け取りながら、疑惑に対する説明責任を果たさず1カ月以上も「雲隠れ」を続けており、野党や国民の批判を浴びている。
この日、衆参の国会議員には323万6617円、7月の参院選で当選した新人議員には6割の194万1970円のボーナスが支給された。議員歳費などを定めた関連法には、国会欠席に伴う減額などの規定はない。3人は引き続き国会議員の歳費月額129万4千円を受け取っているほか、今回のボーナスも満額支給された。
菅原氏と河井克行氏は閣僚辞任の際、事実関係を確認した上で説明する考えを強調していた。立憲民主党の安住淳国対委員長は「公職に就く者が1カ月以上姿を現さないのはまずい。歳費泥棒になっちゃう。恥ずかしいと思わないといけない」と批判した。
西日本新聞の取材に、菅原氏の事務所は「体調不良で休んでおり、通院治療中」、河井克行氏の事務所は「衆議院に手続きを取った上で欠席した」と回答した。案里氏は6日、適応障害のため約1カ月の自宅療養が必要とする診断書を自民党に提出。「指摘されている事案は第三者が調査中で、適切な時期に報告したい」との書面を添付した。取材に対し、案里氏の事務所は「もともと持病があり、現在療養中」としている。(下村ゆかり)
■返納できぬ制度 立法必要
国会を欠席し続けても支給される国会議員の報酬。税金を納めている国民には到底納得できない話だが、国への返納は現行制度上は認められておらず、過去には政治活動を行わずに1億円以上受け取った議員もいる。制度を変えるには国会議員自らが議員立法する必要があり、専門家は「身を切る覚悟が問われている」と指摘する。
国会を欠席し続けた菅原一秀前経済産業相ら3議員へのボーナスの支給について、佐賀大の畑山敏夫名誉教授(政治学)は「政治活動に専念するために所得が保障されているのに、活動の中心である国会を欠席するのは本末転倒だ」と指摘。「議員個人だけの問題ではなく、国会や政治への信用も傷つけている」と続けた。
国会議員の報酬の在り方は過去にも問題になった。2004年には古賀潤一郎衆院議員(福岡2区、当時)が学歴詐称のけじめとして歳費の返納を宣言。ただ、国も「当該選挙区内にあるもの」と解釈されるため、公職立候補者の寄付行為の禁止を定めた公職選挙法に違反することになり、うやむやになったまま辞職した。自身が設立したオレンジ共済組合をめぐる詐欺事件で1997年に逮捕された友部達夫参院議員(当時)は、4年以上勾留されながら歳費を1億円以上受け取った。
日本大の岩井奉信教授(政治学)によると、日本の国会議員の報酬は他国と比べると高額。一方、日本の地方議会には、出席数で報酬を支払う“出来高制”を採用しているケースもあるという。
岩井教授は「政治家は自分たちに都合の悪い改革は行わないため、報酬の問題は見逃され続けた。弾力的な運用ができるように制度を変える必要がある」。国会の運営は議員立法で制度を変えるのが原則のため、「議員一人一人が問題意識を持って、議論しなければならない」と求めた。(御厨尚陽)