中耳炎やけがで穴が開いた鼓膜を薬で再生させる治療法の保険適用が決まったと、大阪市北区の北野病院が12日、発表した。同病院の金丸真一・主任部長らが開発した。約20分の簡単な治療で終わり、負担額も従来の方法の10分の1程度に抑えられる。同病院は来月にも治療を開始する。
病院によると、鼓膜に穴が開くと難聴になり、生活の質が著しく低下する。従来は鼓膜の代用として、耳の後ろの筋肉を包む膜を切って移植していた。患者は国内に100万人以上いるとされ、年間数万人がこの手術を受けるが、本来の鼓膜より厚く、音が聞こえにくくなることがあるほか、入院など負担も大きかった。
鼓膜の再生治療は、細胞の増殖を促す薬剤をゼラチンのスポンジに染み込ませ、患部に接着させて行う。鼓膜周辺の細胞が増殖し、3~4週間で鼓膜が再生する。北野病院などが2007年から臨床研究として患者400人以上を治療し、約9割が聴力を回復したという。
治療費は、3割負担で約1万8000円。吉村長久病院長は「約15年かけた成果。治療法が全国に広まり、困っている患者を少しでも救えたら」と話している。【松本光樹】