政府が陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」(陸上イージス)の陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)への配備計画について再検討を進める中、秋田市議会総務委員会は11日、住民らが配備計画反対などの決議を求めた請願と陳情計13件をまとめて「継続審査」とした。同委員会では6月と9月の定例会でも継続審査としており、3度続けて先送りする判断。18日の本会議も継続審査となる見通しで、住民からは「なぜ住民の声を無視し先延ばしするのか」と失望の声が上がった。【中村聡也、高野裕士】
陸上イージスの新屋演習場への配備計画を巡っては6月、同演習場を配備適地と結論付けた防衛省の調査に複数のデータの誤りが見つかるなどし、住宅地に近すぎるなどと、周辺住民らが強く受け入れに反発するようになった。
同省は配備適地の再選定に向け再調査を進めているが、河野太郎防衛相が今月5日の衆議院安全保障委員会で住宅地との距離を「重要な考慮要素」と述べるなど政府内でも同演習場への配備計画は見直しに向けた議論が加速しているとみられている。
午前10時から始まった総務委員会(委員長を除き8人)の傍聴席には定員20人を超える地元住民らが詰めかけ、入れない人は市役所内のモニターで審査や採決を見守った。
最大会派・秋水会と公明党の4人は、国が秋田、青森、山形3県にあるほかの19カ所の国有地などを含めてゼロベースで適地の再検討を行うなど状況が変化していることに触れ「国の出方をさらに注視したい」などと継続審査を主張した。
一方、市民クラブ、フロンティア秋田、共産党、そうせいの4人は「三たびの継続審査は住民の思いに応えていないことになる」などとして採択を求めた。採択と継続審査が同数となり、細川信二委員長(秋水会)の判断で継続審査となった。
陳情を提出している住民団体「新屋勝平地区振興会」の佐々木政志会長(70)は傍聴後、「市民より霞ケ関、国を見ている」と不満をあらわに。細川委員長は委員会終了後、「正直悩んだが防衛省による再調査の結果が出ておらず、まだ判断できる材料がない」として理解を求めた。
穂積志・秋田市長はこの日報道陣に対し、防衛省が同演習場への配備に際して検討している県有地の取得案について「(売却する県から)意見を求められた際に市として承認できない」と改めて表明。「新屋演習場への配備はないと思うが、今後とも住宅地との距離や安全性の担保を最も評価するよう(河野)防衛相に話をしていく」と述べた。