日本学士院(井村裕夫院長)は12日、2015年にノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章東京大宇宙線研究所長(60)ら7人を新会員に選定した。
学士院会員は、学術上の功績が顕著な科学者らから選ばれる特別職の国家公務員。会員数は人文科学63人、自然科学71人の計134人となった。
新会員の主な業績は次の通り。(敬称略)
井上 正仁(いのうえ・まさひと)東京大名誉教授。刑事手続きにおける捜査・証拠上の問題を中心に、関連法規や法原則にまでさかのぼり、外国法制の識見を生かして検討を行い解決を導くことに努力。緻密で実際性をも兼ね備えた新たな理論体系を構築した。和歌山市出身。70歳。
北川 進(きたがわ・すすむ)京都大高等研究院物質―細胞統合システム拠点長。金属イオンと有機分子を組み合わせ、ナノメートルの精度で構造を制御できる多孔性金属錯体を開発した。京都市出身。68歳。
梶田 隆章(かじた・たかあき)東京大宇宙線研究所長。観測装置「スーパーカミオカンデ」(岐阜県飛騨市)で、素粒子のニュートリノに質量があることを証明する「ニュートリノ振動」と呼ばれる現象を発見した。埼玉県東松山市出身。60歳。
榊 裕之(さかき・ひろゆき)東京大名誉教授。電子をナノメートル級の空間に閉じ込めると、特定の周波数で振動する量子的波動の研究を進める。量子ドット光検出器の発明などにより、ナノエレクトロニクスの発展に貢献した。名古屋市出身。75歳。
笹月 健彦(ささづき・たけひこ)九州大高等研究院特別主幹教授。白血球型抗原(HLA)がヒトの免疫反応を制御することを明らかにし、感染症や疾病の原因解明、克服への道を開いた。福岡市出身。79歳。
垣添 忠生(かきぞえ・ただお)日本対がん協会長。患者の腸から作った新膀胱を尿道に吻合し、尿道からの自然排尿を可能とする術式を開発した。女性では世界初の成功で、患者の生活の質向上に寄与した。大阪市出身。78歳。
藤吉 好則氏(ふじよし・よしのり)東京医科歯科大特別栄誉教授。極低温電子顕微鏡の開発により、膜タンパク質の立体構造解析に成功。生理機能を構造から理解する研究で医学などの発展に貢献した。岐阜市出身。71歳。