介助犬の役割、漫画で 必要な人1万人に実働65頭 協会、ウェブで公開

身体障害者の自立や社会参加を支える介助犬をテーマにした漫画「介助犬ライカ!」の連載が、社会福祉法人「日本介助犬協会」(横浜市)のホームページで11月から始まった。2002年の身体障害者補助犬法成立から17年になるが、実働している介助犬は65頭しかおらず、普及は進んでいない。関係者は「漫画はスマートフォンでも気軽に読める。介助犬を広く知ってもらい、育成への支援の輪が広がれば」と話している。
漫画は、親から育児放棄されて家出した少年が、犬に助けられたことをきっかけに介助犬の訓練士になることを決意。愛知県長久手市の「介助犬総合訓練センター(愛称・シンシアの丘)」で働き、ラブラドルレトリバーの「ライカ」(雄)とさまざまな問題を乗り越え成長していく人間ドラマだ。
第1話では、介助犬が冷蔵庫に入ったペットボトルや、隠した携帯電話を探し出して指示通り持ってくる介助動作を披露する場面から始まる。「犬が可哀そうだ」と抗議をする男性に、少年が「犬とヒトがお互いに心の拠(よ)り所になって人生が変わる! 犬自身も幸せを感じている」と力強く語り、介助犬の大切さを訴える。
作者は、愛知県長久手市在住の漫画家、真希ナルセさん。真希さん、ナルセさんという女性と男性のユニットだ。2015~17年、飼い犬のエッセー漫画をウェブ連載した際、協会が運営するシンシアの丘を取材したことを縁に、介助犬を題材にした漫画を依頼された。関係機関や使用者などに半年間の取材を重ねた。

毎回25ページ程度で、全16話の予定。真希ナルセさんは「介助犬を通して、虐待や差別といったさまざまな社会問題を読者とともに考えていきたい」としている。シンシアの丘の水上言(こと)センター長は「丁寧に取材して描いており、介助犬に関心がない人にも届くと期待している」と話す。
毎月第1金曜日、協会のHP(https://www.s-dog.jp/)で無料配信される。【川畑さおり】
使用者に合わせ「オーダーメード」
介助犬は、肢体不自由者のためにドアの開閉を手伝ったり、物を運んだりして使用者を手助けする。厚生労働省によると、全国で実働する介助犬は2015年度の74頭が最多で、18年度現在65頭。NPO法人「日本補助犬情報センター」(横浜市)によると、育成団体も限られ、厚労相指定法人の認定を受けるのは年間10頭前後に過ぎない。使用者の障害の程度や部位に合わせて訓練するため「オーダーメード」に近く、認定頭数は伸びにくいという。
一方、介助犬が必要と見込まれる人は1万5000人程度と推計されている。
盲導犬は約60年前から国内で育成が始まり、1992年に認定制度が整備され、実働数(18年度)は928頭。聴導犬の実働数(同)は68頭という。厚労省は介助犬を含む補助犬の普及に向け、より適正な訓練のあり方や認定基準について今年度から議論を始めている。
身体障害者補助犬法
2002年5月に成立。盲導犬、介助犬、聴導犬を補助犬と位置づけ、交通機関や公共施設など不特定多数が利用する施設に補助犬の受け入れを義務付けた。07年の改正では、一定規模以上の民間企業に対し、補助犬同伴の就労を希望する身体障害者を受け入れるよう定めた。