新国立競技場、懸念されていた「気候対策」全くなし! 選手よりも体調管理が過酷な観客

冬は寒すぎ、夏はクソ暑いスタジアムの誕生になった。2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる国立競技場で15日、国内外500人を超える報道陣へ向けた内覧会が行われた。
整備費は最終的に1569億円で完成。当初のデザイン案は2520億円だった。しかしお披露目とは残念ながら名ばかりの、突っ込みどころ満載の一日だった。
まず、ほとんどの場所が「撮影や取材、立ち入り禁止」の看板ばかり。報道陣の入退場にも、セキュリティー上の関係で規制がかかった。
「杜のスタジアム」のコンセプトのもと、外観となる軒やひさしは、北側が北海道や東北、南側は九州、沖縄などと各都道府県の位置を反映する形で47都道府県産の「杉」を中心にした木材が使われた。杉のない沖縄県には「琉球松を使用しています」(国立競技場関係者)というオチも。
懸念されていた寒さ対策は、やはり全くなし。内覧会は午後1時から日が落ちた6時までで、開始時は気温13度、風もほとんどなく、日が当たるところでは心地よかった。
ところが、4階席に上がると風が吹き抜ける構造もあり、厚手のコートやダウンジャケットがなくてはとても耐えられない寒さ。地上5階建ての西武ドームというイメージで、警備員や関係者はガタガタ震えながら業務にあたり、報道陣への説明で「寒すぎて口が動きません。すいません」とかむ場面も。あまりの寒さに途中で取材を中止するメディアも多くいた。
21日には観客6万人が入場するオープニングイベントを開催。建設が決まった当初は冷暖房設備を検討していたが、大ブーイングを浴びたことで「100億円」を試算した冷暖房設備も削減している。
観客席はすり鉢状の3層構造で、スタンドの傾斜は1層目から順に20度、29度、34度ときつくなっており、「見やすさの評価はいただいた」(関係者)としていたが、完全防備の防寒態勢で来場しなければ間違いなく体調を崩すのは確実。本番の真夏には「心地よい風になる」と自信たっぷりだったが。(夕刊フジ編集委員・久保武司)