PVが100倍に 台風19号で奮闘したコミュニティーFMの16時間 埼玉

埼玉県内に大きな被害をもたらした2カ月前の台風19号では、地域のコミュニティーFM局も奮闘した。同県鴻巣市のフラワーラジオは台風上陸の10月12日から13日にかけ特別番組を16時間にわたり放送。ツイッターでも情報を発信し、平常時の最大100倍、累計73万超のページビュー(閲覧数、PV)に上った。【松下英志】
フラワーラジオが特別番組の放送を決めたのは上陸前日の11日。翌日にJRなどの計画運休が見込まれたことからパーソナリティーの来退社が困難になる上、11日も雨が激しく、上陸時には同市周辺も相当困難な状況になることが予想されたためだ。東日本大震災の発生時も特別態勢としたが、台風での特別番組は初めてだった。
事前に11日から降雨の状況や荒川に掛かる冠水橋(増水時に冠水)の撤去、電車やバスの運行・運休、ガソリンスタンドなどの情報を随時発信。12日午前9時に特別番組を始め、市危機管理課や警察、消防とも協力し、避難所、荒川や利根川の水位、竜巻注意、他市を含めた避難勧告・指示、停電やダムの緊急放流の有無などの情報を伝え続けた。
併せてツイッターにさまざまな情報をアップ。12日午前はスーパーの開閉店など店舗情報への関心が高く、普段は1ツイート当たり500~1000程度のPVが1万5000超に。午後には大雨特別警報と高齢者の避難開始情報に関心が集まり、ハザードマップを掲載するとPVは3万6000を超えた。

PVが一番多かったのは午後10時40分にアップした停電情報。鴻巣市内では発生しなかったが、近隣他市で停電が起き不安が高まったとみられ、PVは5万4781となった。最終的に計88のツイートに対して約73万4000のPVがあり、鴻巣市の人口約11万9000人が1人当たり6回以上閲覧した計算となる。
特別番組のパーソナリティーはベテランの伊藤恵さんが務め、早野久則放送局長と山田照夫専務が情報収集や電話対応などに当たり、3人態勢で乗り切った。秩父など上流部の河川の水位が下がった13日午前1時に特別番組を終了し、通常体制に戻した。
放送中、ある避難所の定員がオーバーし、「どこへ行けばいいか」との問い合わせがあった。近くの二つの小学校も避難所だったが河川に近かったため、より安全な別の小学校への避難をアドバイス。同市人形町に住む女性からも避難先の問い合わせを受け、ハザードマップなどを基に「人形町は他より海抜が高く当面安全。もし避難するなら、より高い北本市方面へ」と助言した。特別番組には市民から「情報が早くて助かった」「心強かった」などのコメントが寄せられたという。
早野局長は「刻々と変化する状況を継続して伝えるのにラジオは非常に適していることを改めて実感した。放送エリアが広過ぎず、我々の目に見える範囲だったことも身近で適切な情報提供につながった」という。「今後は元荒川などもっと細かい情報も伝えたい。そのためには県や消防団などとも連携を広げることが大切」と話している。