「ずんぐりむっくりジャンボ」ボーイング747SP どうしてこうなった 短胴で思わぬ功績

「ジャンボ」ことボーイング747シリーズで、コンセプトに逆行した「短胴型」が1モデルだけあります。なぜこのような形をとったのでしょうか。製造数は少なめですが、そののちに引き継がれる功績もあったようです。
日本でもなじみ深い機体「ジャンボ」ことボーイング747シリーズは、その大きな胴体で多くの人を乗せられるのが強みですが、ひとつだけそのコンセプトに逆行した異形のモデルがボーイング747SPです。
ボーイング747SPの特徴は、基本シリーズ(747-8以外のシリーズ)より約14m短い胴体にも関わらず、ほかのシリーズより垂直尾翼、水平尾翼が大きいこと。本来の「ジャンボ」のルックスとは、明らかに違うものです。
「ボーイング747SP」がベースとなっているNASA所属の「SOFIA」(画像:pixabay/skeeze)。
日本でボーイング747SPを導入していた航空会社はありません。成田空港などでは、かつてイラン航空などの同型機が飛来する程度で、日本人には「馴染みのないジャンボ」でした。
このような形状となったのは、燃料の搭載量をそのままに、胴体自体を短くし、軽くすることで航続距離をあげ、それまでより長距離飛行を可能にするためです。胴体を短くした影響で、舵の効きが従来より悪くなるという懸念への対策として、ふたつの尾翼はむしろ大きくなっています。
軽量化や翼など部分的なアップデートはあるものの、そのほかについては、胴体は主翼前後の部分をそのまま詰めた形で、「ジャンボ」の基本的な仕様を踏襲。これは、共通化することで設計変更のコストを下げるためと言われています。

747シリーズの初期型である747-100型の航続距離は8890kmでしたが、ボーイング747SPは、それよりも1500km以上長い1万656kmの航続距離を持ちます。パンアメリカン航空に納入された初号機は1976(昭和51)年、アンカレッジ(アラスカ)経由が一般的だった東京~ニューヨーク線で直行便を就航させます。「SP」の意味する「スペシャル・パフォーマンス」なデビューです。
しかし747SPの製造機数は、45機とそう多くはありません。そののち、1983(昭和58)年、基本系「ジャンボ」の形をそのままに、燃料タンク容量増加とエンジン変更で航続距離が延長した改良型の「747-200B」が登場すると、同じくらい(厳密には-200Bが多少上回る)の航続距離でありながら、人は多く乗せられない747SPの需要は衰退します。
チャイナエアラインのボーイング747-400型機(2019年8月、乗りものニュース編集部撮影)。
しかし、この747SPのシルエットは、そののちのシリーズにも引き継がれる、思わぬ副産物を生み出します。
同機の形は、「ジャンボ」の特徴である2階席のコブ(アッパーデッキ)はそのままに、一階の部分にあたる胴体を短縮したものでした。つまりコブと垂直尾翼の距離が、従来のモデルより近いのです。この形状が巡航中、空気抵抗を減らす効率的な形であることが判明しました。
この結果に基づいて、コブを伸ばすことで、同様の効果が得られるのではと開発されたのが、アッパーデッキ延長型の「747-300」です。この長いコブの「ジャンボ」は、ベストセラーの「ハイテクジャンボ」こと747-400や、最新型の747-8にも引き継がれています。
※一部修正しました(12月18日20時15分)。