【独自】関空「放置車両」に悩む…外国人乗り捨てか、「事件」関与の車も

関西空港(大阪府泉佐野市)の有料駐車場に1~5年間放置された車両18台について、運営会社の関西エアポートが5月以降、所有者らに駐車スペースの明け渡しなどを求める異例の訴訟を相次いで大阪地裁に起こした。外国人の乗り捨てが原因とみられ、関西エアは判決のお墨付きを得た上で車両を処分したい考えだ。

約6800台収容できる関空島の駐車場。出口近くに塗装の剥がれた白い車が止められていた。ほこりで覆われ、窓から中は見えず、タイヤはパンクしている。
所有者はアジア系の男性(40)。大阪市で約2年間居住し、2014年7月に駐車後、関空から出国したままだ。関西エアは今年5月、駐車スペースの明け渡しと駐車料金約140万円を求めて提訴した。
被告はこの車を含む18台の所有者らで、大半が中国や韓国、ブラジルなど外国籍だった。未払い料金は約50万~210万円で計2000万円以上になる。日本で数年間暮らし、出国後に連絡がとれないケースばかりで、警察に事件への関与を指摘された車もある。
関西エアは車検証などから所有者の名前や住所を割り出したが、既に居住しておらず、訴状が届かない。地裁は裁判所内に訴状を掲示して被告に届いたとみなす「公示送達」を行い、今月12日までに全て判決が言い渡され、同社が勝訴した。

関西空港は1994年の開港以来、放置車両に悩まされてきた。
2007年に会計検査院から放置車両61台の駐車料金計約3000万円が未払いだとして「車を売却して

補填
( ほてん ) すべき」と指摘された。これを受け、当時の運営会社は駐車から20日間を超えた車を放置されているとみなし、その後は廃棄・売却できる管理規定を設けて処分してきた。
しかし、16年に運営が関西エアに移った際、同社は所有者とのトラブルを懸念し、この運用を停止。「放置車両の処分には、従来よりも時間がかかっても事前に法的手続きが必要」と考え、撤去を求める貼り紙をして90日間連絡がないと提訴することにした。
さらに4台の放置車両が現段階で確認されており、関西エアは追加提訴も検討。担当者は「放置車両をなくすため、今後も

毅然
( きぜん ) と対応する」と語る。
各地で問題化 対応様々

他の空港や港湾施設でも外国人の乗り捨てとみられる放置車両があるが、対処法は様々だ。
成田空港(千葉県成田市)は撤去を求める紙を貼り、駐車から90日超で処分する。年3~5台あるという。
中部国際空港(愛知県常滑市)は3か月経過すると、所有者に連絡せず、空港島の空き地などに移動させる。今も数十台を3年以上保管しており、担当者は「廃棄費用もネックで、どう処分するかは検討中」と話す。
また、外国との定期航路がある港湾でも放置車両がみられ、東京都では年間約400台を確認。2015年に定めた都条例に基づき、警告シールを貼って引き取りを促す。大阪市では大阪南港などで現在約20台の放置があり、年5台程度を廃棄し続けている。
無料駐車場が多い地方空港でも、放置車両が悩みの種になっている。約2000台が駐車できる静岡空港(静岡県牧之原市)は2年以上放置された車が5台あり、県が撤去費用として1台当たり約2万3000円を求める訴訟を起こす準備を進めている。撤去後は競売にかける方針で、駐車場の一部有料化も検討中だ。県は「できることから対策していく」としている。
強引な撤去 刑事責任も

民事訴訟手続きに詳しい

越路倫有
( こしじともなり ) 弁護士(福岡県弁護士会)の話「民事トラブルは被害回復を自らの力で図るのではなく、裁判など公的な権力によって実現させるという『自力救済の禁止』が民法の原則となっている。放置車両といえども、所有権は他者にあり、強引に撤去すると刑事責任を問われるリスクもある。コストや時間がかかっても、司法判断を得るのが手堅い選択肢だ」