職員室のPCは数台だけ、プリントのコピー代にも困窮 現役中学教員が語る「教育現場の“理不尽な貧しさ”」

ブラックな労働環境、厳し過ぎる部活動、なくならないいじめ………。子どもの成長を支える学校を巡って、ニュースではさまざまな問題が取り上げられています。実際に働いている教員は、どのような思いを抱いているのでしょうか。

本記事は、公立校の中学教員に「一般教員として感じている“学校の問題点”」を語ってもらう連載企画。今回はたびたび言及されてきた「学校にいかにお金が回っていないか」についてAさん、Bさん(仮名)にインタビューしました。

●「このままだと“コピーの予算”が尽きる」「インク代が高いからカラーコピーするな」

―― 前回の記事で「本来お金を使うべきところに税金が使われていないと感じてしまう」という話があった。そういえば以前から「学校には金がない」と繰り返し言ってたよね

A:お金には本当に困ってるよ。「このままだと“コピーの予算”が尽きるから、2枚印刷するときは縮小して1枚にしろ」と言われたりする。授業などで必要だからコピーしてるわけなんだけど。

―― 文字が小さくて読みにくくならない?

A:普通はそう思うよね。「子どもに満足な教育を受けさせなくていい」と言っているのと変わらないと思う。

それから「インク代が高いからカラーコピーするな」というのもあって、授業で使うプリントはきまって白黒。社会科のプリントに金閣寺を印刷しても、金色であることが伝えられない。「では、資料集の何ページを開いてください。金閣寺は名前通りの色なんです」と二度手間になる。

―― そういえば、学校のプリントってきまって白黒だったね。うまく印刷できないことも多くて、今考えるとかなり見にくかった

B:機材も良くなかったりするから。「英単語の問題でペンのイラストを載せたら、印刷が不鮮明。注射器と間違えてしまった子どもが『pan』じゃなくて『drug』と回答した」なんて話もある(笑)。

A:もはやこういうのが当たり前みたいになってるけど、やっぱりおかしいよねえ。

―― そもそも学校ってたくさん印刷する場所だと思うんだけど、なぜそんなことに?

A:確かに紙はたくさん使う。プリント1枚作るだけでも、一学年全員に配ると印刷枚数が百ウン十枚とか。

B:行政は学校内部への配慮が少ないわりに、対外的によく見せようとするんだよ。説明できないことはしない。

―― 「説明できない」とは?

B:例えば、さっきの「コピー代がもったいないから縮小、白黒印刷」という話なら、予算を増やせばすぐにでも解決できそうだよね。枚数が多くてランニングコストがかかるというなら「デジタル教材を導入して黒板にカラー画像を映せるようにする」などの手があると思う。

ただこういう取り組みのメリットは市民に伝わりにくい。現場にいれば「生徒にとって良いことだ」とすぐに分かると思うのだけど、外部からはどういう意味があるのか理解しにくい。それが「説明できない」ということ。

だから、行政は何もせずに「教員の一人一人が頑張ってください」みたいなね。

A:金を出さずに工夫だけ求めてくるよね。

●いらない備品が捨てられない、教員用のPCが人数分そろえられない……

A:お金の話でいうと、「学校の備品が古過ぎる」というのもあるかな。DVDでさえちょっと古く感じてしまうご時世だけど、いまだにビデオデッキが残ってるよ。今の子どもは知ってるのかな、「昔は磁気のテープを使っていて、見過ぎると切れちゃったりするんだよ」って。

いまだに昭和ウン十年のものが残っていて、ビックリするね。

―― よく捨てずに残してるねえ

B:というか、捨てられないんだよ。学校で購入した備品は、基本的に処分するときに許可が必要だし、「これこれこういう理由で捨てます」と説明できないといけない。「もう使わない/使えないから捨てる」でいいと思うんだけど。

学校にはそういうゴミがいっぱいある。でも、それがあることで新しいものが入ってこない。備品がちゃんと循環していかない。

A:図書室の本なんかの場合、捨てられる冊数が決まっているから、誰も読まない真っ茶色の本が残ってる。「モノを大切にする」みたいな意図なのか分からないけど、あってもムダなら……ねえ?

そのくせ、マグネットシートはたっぷりあるんだよね。黒板に紙を貼るときとかに使うやつ。

―― どうして?

B:予算は使い切らないと減らされちゃうから。マグネットシートはどの先生も使うから買いやすい。

A:あと買いがちなのは、ボールペンあたり? 安くて使い勝手がいいのは確かなんだけど、そういうものばかり増えていく。

本当はお金をためて、教員用のPCとかを買ったほうがいいんだけどね。職員室にPCが数台しかない学校とかもあって、教員たちでシェアして使ってるよ。

でも、年度ごとの予算は繰越できないから、PCのような高額のものを買おうにもお金をためることができない。しかも、「これはこれに使うお金」とそれぞれ細かく決まってるから、流用もできないんだよね。「このままだとコピーの予算が尽きる」みたいな話の背景には、そういう事情もある。

(続く)

※本企画は、現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境などは自治体、学校などによって異なる可能性があります。