山形大は19日、山形・宮城両県にまたがる蔵王連峰の地蔵岳(1736メートル)山頂で1940年代に気象観測をしていた「蔵王山測候所」の地図や写真などが見つかったと発表した。文献では確認されていた幻の測候所の資料に、発見に関わった柳沢文孝教授(地球化学)は「(測候所は)台座も残っておらず、どこにあったかすら分かっていなかった。ちゃんとした建物があったと証明される資料だ」と意義を強調した。
柳沢教授によると、陸軍航空本部が航空機の通過ルートの気象を調べるため、地蔵岳中腹で41年11月に接収した「蔵王小屋」での観測が測候所のルーツ。軍の委託で中央気象台(現気象庁)が42年12月から観測を始め、43年9月に山頂に測候所が完成。47年9月まで観測した。山形地方気象台には当時の観測記録が残り、建物は平屋建て(一部3階)とされた。
稼働時期の写真などは未発見だったが、東京都内で写真館を営む男性がスキーなどで蔵王を訪れた際、44年2月に山頂付近で撮影した写真を保有していることが分かり、家族から提供を受けた。同時期に山頂にあった建物は測候所のみという。
また今夏、柳沢教授が東京都内の古書店で、地蔵岳山頂に「気象研究所」の記載がある手書きの地図を偶然、見つけた。記載内容から46~47年に描かれたと推定され、同時に、51年ごろの撮影とみられる測候所の絵はがきも見つけた。柳沢教授は「絵はがきや写真を見ると、温暖化の進み具合や測候所の形も分かる。今後の研究にも生かしたい」と話した。【日高七海】