秋田県で2010年、弁護士津谷裕貴さん=当時(55)=が自宅に侵入した男に刺殺された事件で、遺族が県と男に損害賠償を求めた訴訟について、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は20日までに、県の上告を退ける決定をした。臨場した警察官の対応が不適切だったとして、県と男に計約1億6000万円の賠償を命じた二審仙台高裁秋田支部判決が確定した。決定は19日付。
今年2月の二審判決は、通報で駆け付けた警察官が、男から奪った拳銃を持っていた津谷さんを誤って取り押さえたと認定。「男を侵入者と識別し、津谷さんを避難させていれば、殺害はなかった」と述べ、警察官の不手際を認めなかった一審秋田地裁判決を取り消し、県と男の双方に賠償を命じた。
男は殺人などの罪に問われ、16年に無期懲役が確定している。
最高裁決定を受け、原告の遺族と弁護団は20日、秋田市内で記者会見した。津谷さんの妻良子さん(62)は、「9年間、心に重い荷物があるような気持ちで過ごしてきた。明日からは夫との思い出を大切にして生きていきたい」と述べた。弁護団長の吉岡和弘弁護士は、「今後の警察活動の在り方に影響を与える極めて意義深い決定だ」と強調した。