「直営業」届け出義務づけ了承 吉本興業アドバイザリー委が中間報告

吉本興業の所属芸人が反社会的勢力から金銭を受け取った「闇営業」問題に関連し、同社の「経営アドバイザリー委員会」(座長・川上和久国際医療福祉大教授)は20日、中間取りまとめを吉本興業ホールディングスの大崎洋会長と岡本昭彦社長に提出した。所属芸人が会社に報告せずに仕事を受けることを全面禁止▽書面による契約締結を徹底――などとする吉本の方針を了承した上で、違反があった際の罰則などルールの明確化を求めた。
同委は、今年6月に発覚した「雨上がり決死隊」の宮迫博之さんらの「闇営業」問題をめぐって設置され、8月から先月までに4回、会合を開いた。中間取りまとめでは、反社会的勢力を完全排除する方策や所属タレントらとの契約、コンプライアンス(法令順守)体制のあり方などについて、吉本から提出された改善や再発防止に向けた方針を受け、意見や提言を行った。
反社会的勢力の完全排除に向けて吉本は新たに、芸人が直接仕事を受けるいわゆる「直営業」について、会社への届け出を義務づける方針を提示。吉本が仕事先の属性調査をして問題がなければ認めるが、報酬は吉本を通じて支払うとした。同委は「合理的なルール」と評価しつつ、属性調査には一定の時間がかかるため、当日までに調査が完了しない場合の対応などをルール化することを求めた。また、「ルールである以上、ペナルティーがなければ機能しない」として、罰則規定も設けるよう提言した。吉本興業東京本部で記者会見した川上座長は、「不自由に感じるかもしれないが、タレントさんを守るためでもある」と述べた。

また、所属契約について吉本は、従来通りの口頭での専属マネジメント契約▽書面での専属マネジメント契約▽書面での専属エージェント契約――の3パターンから芸人が選択し、口頭契約の場合も「所属覚書」を交わすとした。またいずれの契約パターンでも報酬の取り分を明示するとした。約6000人の全所属芸人と、覚書を含む契約書面を年内に交わす予定だという。同委は「明確で透明性のある報酬設定の継続」と、契約違反があった際の契約解除や損害賠償のルールを契約書で明確にするよう求めた。
コンプライアンス体制については、研修の実施など吉本のこれまでの取り組みについて「教育体制は十分整備されている」と評価。川上座長は「現場のマネジャーが(芸人が抱える問題に)気付く体制作りや社員研修も充実・強化していくということを望みたい」と述べた。
一連の問題では、岡本社長が宮迫さんらに「会見したら全員クビにする」と発言したことがパワハラにあたるとの指摘も上がっていたが、吉本興業から委員会に「危機管理の点でやむを得ざることだった」と報告があったという。川上座長は会見の最後に、「吉本興業には(反社排除やコンプライアンスの)体制がきちんと作ってある。何かあったときにそれを運用して危機を乗り越えていくことで、グローバル企業としての発展を目指していただきたい」と述べた。会見では、政府が反社会的勢力の定義が「困難」と閣議決定したことについても質問が及んだが、川上座長は「定義が困難との議論は委員会でも出たが、だからといって止まってはいけないと考えている」として、引き続き排除に向けた取り組みを続けるよう求めた。【山田夢留】