不特定多数の人が出入りする公共の場や乗り物で盗撮を禁じる条例を改正し、規制場所を拡大する自治体が相次いでいる。スマートフォンなどの普及により、出入りが制限される学校や職場などでも被害が増えているにもかかわらず、取り締まれないケースがあるためだ。読売新聞の調査では、改正したのは20日までに31都道府県に上る。
盗撮行為は「迷惑防止条例」で禁止されており、19日に岐阜県議会、20日に秋田、茨城県議会で改正案が可決された。「不特定または多数」が利用する学校や事務所、貸し切りバスなどにも範囲を広げ、条例を適用できるようにした。塾やスポーツジム、カラオケボックスなども想定しているという。
秋田県での改正は、秋田市の中学校の教室で4月、男性臨時講師が女性教員のスカート内を小型カメラで動画撮影した事件がきっかけとなった。被害届を受けて捜査した県警は、校舎内を「公共の場所」と解釈することができず、同条例での立件を見送った。県議会では「被害者感情を考えると許せない」「条例の盲点だ」などと意見が続出した。
迷惑防止条例は1960年代頃から、公衆に著しく迷惑をかけるなどの行為を防ぐのを目的に全国で施行され、盗撮行為の禁止も公共の場所が前提となっていた。しかし、スマホの普及などで盗撮が行われる場所が広がり、SNSなどで画像が拡散するなど被害が深刻化してきた。
読売新聞の調査では、改正した31都道府県のうち、大阪府はタクシー車内を条文に明記し、福岡県は商業施設の授乳室をホームページで例示するなどしている。2018年2月に改正条例を施行した佐賀県では、同年中の盗撮の摘発が28件と前年から倍増した。
このほか、千葉、山梨、香川の各県は改正案提出を目指して準備を進めており、山形、高知など7県が「検討中」。一方、青森、広島など6県は「具体的な問題が起きていないため、議論になっていない」などとして検討に入っていない。
警察庁によると、盗撮被害は年々増加しており、18年の摘発は全国3926件と、12年(2408件)比で6割増。スマホを使ったのは2896件と全体の7割を超え、12年(792件)の3・7倍に上る。
犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長の上谷さくら弁護士は「スマホの普及で誰もがカメラを持ち歩く時代に、都道府県によって盗撮行為への対応が分かれるのはおかしい」と条例改正の必要性を指摘。その上で「『盗撮罪』を創設するなどして全国一律に取り締まることも検討すべきだ」と話している。