事務機器大手の富士ゼロックス熊本(熊本市)は熊本県阿蘇市の阿蘇神社が所有する後醍醐天皇の綸旨(りんじ)など古文書9通の精巧なレプリカを作って神社に寄贈した。2016年の熊本地震で国指定重要文化財の楼門が倒壊するなど被災した神社の復興を後押ししようと最新のデジタル技術を駆使して作った。阿蘇惟邑(これくに)宮司(31)は「歴史教材にしたい。神社の由緒を多くの人に知ってもらえれば復興につながる」と喜んでいる。
古文書は鎌倉~南北朝時代の1196~1340年に書かれた「阿蘇神社文書」9通でいずれも阿蘇市指定文化財。綸旨は後醍醐天皇の意を受けて出された命令書で、鎌倉討幕に功績があった阿蘇宮司の先祖・阿蘇惟直(これなお)が阿蘇神社の領地(阿蘇市一の宮町地区)を一元支配することを認めたものとされる。
宮司職を世襲する阿蘇氏一族のルーツを示す文書として知られるが、現在は全て熊本県立美術館(熊本市中央区)に寄託されていて人目に触れる機会が少ない。そこで富士ゼロックス熊本がレプリカ作りを買って出て、京都市にある同社グループの工房の高性能コピー機を使って和紙に古文書を複写した。
実物に限りなく近い色合いや手触り、火災で一部が焦げた跡まで再現するのに苦労し、機器の出力や紙送りの速さなど微調整を繰り返し3年かけて仕上げた。神社はレプリカを宝物庫に保管し、今後、地域の歴史教育や研究に役立てていくことにしている。【杉山恵一】