【モスクワ=工藤武人】露国境警備局は24日、北方領土・歯舞群島周辺で今月17日に連行していた北海道根室市内の漁協に所属する漁船5隻を解放したと発表した。漁船5隻は国後島
古釜布
( ふるかまっぷ ) を出港した。菅官房長官は24日午前の記者会見で、乗組員24人の健康状態に問題はなく、24日夕に根室に帰港する見通しだと明らかにした。
漁船5隻は、歯舞群島周辺で日露間の合意に基づく「安全操業」のタコ漁中に、露国境警備局の臨検を受けて古釜布に連行されていた。
ロシアの裁判所は23日、5隻について、漁獲量が操業日誌の記載を約7・5トン上回る操業違反があったと認定し、船長らに罰金総額約643万ルーブル(約1130万円)の支払いを命じた。露国境警備局は罰金の支払いを確認して解放した。
安全操業は、北方領土の周辺海域で日本漁船がロシア側に
拿捕
( だほ ) される事件が相次いだのを受け、1998年に始まった。
解放された5隻のうち、2隻が所属する
落石
( おちいし ) 漁協(根室市)の野村幸喜参事は「無線で随時連絡を取り、船員の体調について確認している。必要に応じて病院を手配する準備を進めている」と述べた。
北海道漁業管理課の担当者は「漁船5隻と乗組員が戻れることは喜ばしく思う。今後、事実関係などを確認するため、乗組員への聞き取りなどを行いたい」と話した。