【2020年大胆予測】#6
日産のカルロス・ゴーン元会長が、東京地検特捜部に逮捕されたのは2018年11月19日。その後、特別背任容疑を含め計4回逮捕された。初公判は来年4月に予定される。カリスマ経営者の将来はいかに。「無罪放免」となれば、逆に追い込まれるのは特捜部だ。特捜部が目を付けたのは、11年3月期~18年3月期、有価証券報告書にゴーンが受け取る役員報酬を過少記載したこと。計約90億円の報酬を隠した疑いだ。報酬は退任後に支払われるもので、ゴーンはまだ受け取ってはいない。そこに、立証のハードルがあるという。
元東京地検特捜部検事で弁護士の郷原信郎氏はこう言う。
「検察は、受け取る予定である報酬も通常の役員報酬と合算して有価証券報告書に記載すべきと主張していますが、無理筋ではないか。まだ受け取っていない以上、『別立て』の書類に記載する義務はあるかもしれませんが、『合算すべき』という主張の根拠は薄弱です。虚偽記載とは言い切れず、無罪になる可能性が高いと考えられます」
■有罪のハードルは高い
特別背任も厳しい。08年のリーマン・ショックを受け、ゴーンは私的な投資契約を結んでいた金融機関から追加担保を求められ、日産に契約を付け替えた。
証券取引等監視委員会に問題視されると、契約を自身に戻している。その際、サウジアラビアの友人らに担保提供を要請。約50億円の資金を受けたが、友人らへの見返りとして日産の資金を流用したというもの。
それとは別に、オマーンの友人がオーナーの日産販売代理店に対し、ゴーンの裁量で拠出できる「CEOリザーブ」から、12年以降、計約35億円を拠出。一部をゴーンが所有する会社に還流させた疑いだ。この「オマーン・ルート」については、今年4月4日付の産経新聞が検察上層部のコメントとして、「無理して一部でも無罪が出たら組織が持たない」と報じている。むちゃな捜査に突っ走っていったことがうかがえる。
「オマーン・ルートについては、代理店オーナーとゴーン氏の間で『資金を還流させましょう』という事前の合意があったことを立証できなければ、特別背任に問うのは困難です。検察上層部の発言は焦りの表れでしょう。明確な根拠を集めきれていないのではないか。一部でも無罪になれば、世論の批判は免れず、特捜部は危機的状況に追い込まれる恐れがあります」(郷原信郎氏)
一方、“無罪請負人”の弘中惇一郎弁護士とタッグを組んだゴーンは自信満々だ。