八ッ場ダム 生活再建事業に遅れ 資材調達難が影響 完了来年度に

国が群馬県長野原町に建設している八ッ場(やんば)ダムの来春の完成に合わせて今年度内に完了予定だった地元の生活再建事業13件が遅れている。東京五輪・パラリンピックの準備などによる資材調達難が影響しているといい、完了時期は来年度に大きくずれ込む見込みという。
遅れている13件は、JR吾妻線の長野原草津口駅前広場やダム水没地域から移転した川原湯地区の地域振興施設の整備など。県の担当者は「住民にはきちんと説明した上で事業を仕上げていきたい」としている。
一方、来春の完成前に水をためて安全性を確認する「試験湛水(たんすい)」が実施されている八ッ場ダムの水位が最低水位(標高536・3メートル)となった。国土交通省八ッ場ダム工事事務所によると、しばらくの間は最低水位を維持してダム本体の安全確認や周辺の土砂の状況などを調査するという。
10月1日に始まった試験湛水は当初、3~4カ月で満水位(標高583メートル)に到達する見込みだったが、10月の台風19号の影響で一気に満水となっていた。その後、1日におおむね1メートル以下の範囲で水位を下げていた。【西銘研志郎】