栃木県日光市の日光山輪王寺で21日、正月に向けた餅つき行事「御供加持(ごくうかじ)」が行われた。山伏姿の僧侶たちが新年への願いを込めて、力強くきねを振るった。
輪王寺によると、餅は神仏に対する最高の供え物とされている。奈良時代、日光連山へ修行に山伏が出発する際、餅を供えて安全を祈願し、その餅を携行食としたことが行事の起源とされる。
本堂の三仏堂前に張られた結界内で臼を清めた後、輪王寺の僧侶が一斉に真言を唱えた。雪が舞う冷え込みの中、臼を囲んだ4人の山伏が代わる代わるきねを振り下ろして5キロの餅をつき上げた。境内には力のこもった「よいしょ」の掛け声が響き渡り、観光客たちは師走の伝統行事に見入っていた。つき上げた餅は鏡餅にして、三仏堂に供えられた。
輪王寺は30日までに2俵(120キロ)分の餅を境内のお堂などに供えて、正月の準備を整える。【花野井誠】