朝鮮半島からとみられる木造船が今年も青森県沿岸で漂流、漂着が相次いでいることを受け、県や海上保安部などが対策を強化している。青森海上保安部によると、今年度は20日までに26件が確認されており、全国で2番目に多かった。関係者は漂流船を発見した時は海の緊急通報ダイヤル「118番」に連絡するよう呼びかけている。
木造船の漂着や漂流は季節風や潮流の関係で冬に増える傾向があり、日本海沿岸に流れ着くものが多い。最も多い深浦町では今年度、全体の約半分にあたる12件が確認された。同海保は11月、冬限定で日本海沿岸を陸上から監視する「青森機動監視隊」(MMP)を鰺ケ沢町に設置。これまでにすでに9件の漂着船を発見している。
今月16日には、県や同海保、税関の職員などが集まって連携強化を図る連絡会議が県庁で開かれた。県の担当者は、漂着船などの回収や処理費用がすでに今年度の予算額を上回る見込みで、国に補助金の追加要望を予定していることを説明した。
同海保の担当者は、今年1月に深浦町沖合で漂流していた木造船から、北朝鮮から来たとみられる男性2人が救助されたことに言及。乗船者がケガや病気の場合も想定し、消防や医療機関との連携の必要性を訴えた。
県危機管理局の松野安弘次長は「適切に対応するため、何よりも関係機関の連携が必要。また、木造船を見かけてもむやみに近づかず、118番に通報してほしい」と話した。【平家勇大】