アスベスト工事、一般住宅も事前届け出義務化へ 20年度から規制強化

厚生労働省はアスベスト(石綿)の飛散に伴う健康被害を防ぐため、石綿の使用の有無にかかわらず、一般住宅を含む建物の解体・改修工事の事前届け出を業者に義務付けるなど2020年度から規制を強化する方針を固めた。労働安全衛生法の省令を改正し、実施する。
労働安全衛生法に基づく石綿障害予防規則では、業者には工事前に石綿の使用状況を調べる義務があるものの、労働基準監督署への届け出は、石綿を直接吹き付けた建材を使うなど飛散しやすい建物(ビルや工場など)の工事に限っている。だが、調査が不十分で石綿が飛散した恐れのある事例が多発したことを受け、石綿を含む建材の使用の有無にかかわらず、届け出の対象について解体は床面積の合計で80平方メートル以上、改修は請負金額100万円以上の工事に広げる。現地での事前調査結果の提出も義務付ける。18年度の届け出件数は約1万3000件だったが、新しい規制を当てはめると213万件に達するとの試算があり、電子システムを整備して対応する方向だ。
石綿を使った建物は老朽化が進み、30年ごろには解体数が年約10万棟に達する見通し。現在、石綿の使用は原則禁止されているが、過去の工事などから毎年約1000人(うち建設業500人強)が関連疾患による労災認定を受けている。
石綿飛散による近隣住民の健康被害防止を巡っては、石綿が使われた全ての建物を大気汚染防止法の規制対象とする検討を環境省が進めている。【矢澤秀範】