2020年東京五輪の県内を走る聖火ランナーに、和歌山市の山添利男さん(74)が選ばれた。前回1964年の東京五輪の時にも選ばれており、人生2回目の聖火ランナーとなる。「一生に2回走れるのは光栄だ。大切な役目を果たしたい」と話す。【最上聡】
山添さんは、和歌山県かつらぎ町出身。住友金属(現・日本製鉄)和歌山製鉄所に勤務した。球の速さを買われソフトボールの実業団に入り、18歳で国体にも出場した。
64年の聖火ランナーはスポーツで成果を挙げた若者が選ばれており、山添さんもソフトボールの活躍から選出された。県内1日目の9月26日の最終走者だった。
現在の日赤和歌山医療センター前から県庁前まで約800メートルを走り、聖火台に火をともす大役を務めた。ただ、「沿道にものすごい数の人が詰め掛けたのは覚えているが、緊張してほかに記憶がほとんどない。五輪にもあまり思い入れがなかった」と打ち明ける。
当時のランニングウエアは押し入れにしまったまま。記念にもらえたはずのトーチも「誰か偉い人に持っていかれてしまった」と執着がなかった。
しかし、2020年の東京五輪が決まると、変化があった。聖火ランナーとしての体験を聞かれることが増え、今になって「大変なことに関わったのだな」と思うようになった。「世紀をまたぎ、今度は記憶をかみしめて走りたい」とランナーに応募、スポンサー枠で選ばれた。
前回と今回の最大の違いは、幅広い年齢層でリレーをする点だ。「孫くらいの子どもに引き継ぐことになったら、何と声を掛けて送り出していいか分からない」と冗談めかすが、「ソフトボールを半世紀以上、プレーし続けている。スポーツは生涯楽しむことができるということを、五輪に関わることで少しでも伝えたい」と願う。