植松聖被告、暴れ出し退廷 地裁は「小指かみ切ろうとした」と説明…相模原45人殺傷

相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人罪などで起訴された元施設職員・植松聖(さとし)被告(29)の裁判員裁判の初公判が8日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で開かれた。植松被告は罪状認否の後に突然暴れ出し、わずか15分で退廷を命じられた。被告は事実関係は認めており、今後は刑事責任能力の有無が争われる。
「皆さんに深くおわび致します」。腰まで届きそうな長い黒髪を黒いゴムで束ねた植松被告は、小声の早口でそう話した瞬間、口元に手をやると上体をピンと伸ばすような体勢を取り、すぐに体を激しく揺らしてもがき始めた。
突然の行動に傍聴席は息をのみ、何が起きたか分からない。すぐに4人の刑務官が駆け寄り、植松被告を押さえ込んだ。刑務官の体の下で、のたうち回る植松被告の姿を見た裁判長は「休廷します」と宣言。立ち上がって様子をのぞき込み、居座ろうとする傍聴人や取材陣に向けて、裁判所の係員から「退廷してください!」と怒号が飛び、20分遅れで始まった初公判は、わずか15分で休廷となった。
公判は午後1時20分に再開されたが、植松被告不在で続けられた。横浜地裁は、退廷の理由について「被告が小指をかみ切ろうとしたため」と明らかにした。ただ、法廷の床に血痕などは見られなかった。この日は冒頭陳述の後に証拠調べの一部が行われる予定だったが、10日以降に延期された。

植松被告は罪状認否で「(事実に間違い)ありません」と答えており、弁護人も事実関係については争わないとした。一方で、事件当時に被告が大麻精神病などの精神疾患により、心神喪失もしくは耗弱状態にあったとし、刑事責任能力を問えないとして無罪を主張した。
弁護人は、植松被告が2012年に「やまゆり園」にアルバイトとして勤務を始めた当初は、知的障害者を「かわいい」などと話していたと言及。その後、13年ごろから大麻を頻繁に使用するようになり、精神障害を発症したという。
一方、検察側は植松被告が自身が特別であると誇大妄想する「自己愛性パーソナリティー障害」と認めた上で「それでも被告人の心情形成は病的ではなく、被告自身の特異な考え方によるものである」と指摘。犯行時には刑事責任能力があったとした。
今後の公判では、刑事責任能力の有無と程度が争点となり、植松被告を診断した医師などが証人として出廷する。判決は3月16日に予定されている。