北海道のアイヌ文化施設「ウポポイ」 道民ですら「知ってる」5割 PRに課題

北海道白老町のアイヌ文化施設「民族共生象徴空間(ウポポイ)」のオープンまで15日で100日になるのに合わせ、道はさっぽろテレビ塔(札幌市中央区)で特別イルミネーションを点灯した。今後も国内外でPRイベントが目白押しだが、2019年11月に道が実施した調査では、ウポポイを「知っている」と答えた回答は道民でさえ約5割。認知度不足の解消が急務となっている。【真貝恒平】
<アイヌ文化施設「ウポポイ」>来春オープン、こんな施設
振興の好機
道はアイヌ文化振興の好機ととらえ、PR活動に力を入れる。15日午後4時半~同10時、さっぽろテレビ塔をウポポイのロゴマークに使用する紺と赤で照らした。動画投稿サイト「ユーチューブ」で、PRアンバサダー(大使)の俳優、宇梶剛士さんらが出演する動画の配信も同日始めた。
19、20の両日には新千歳空港国内線2階センタービルで「アイヌ・フェスティバル」を開催。アイヌ古式舞踊の披露や、宇梶さんのトークステージ(19日のみ)が行われる。このほか、2019年に大英博物館で開かれたアイヌを題材にした人気漫画「ゴールデンカムイ」に関する展示が好評だった英国ロンドンでも16日から約1カ月間、ムックリ演奏体験やアイヌ文様・刺しゅう体験などさまざまな広報活動を展開する。
一方、道の調査では認知度の低さが目立っている。昨年11月25~27日に18歳以上の道内500人と関東・関西・中部地域の500人、計1000人を対象にインターネット上で実施。ウポポイを「知っている」道民は53・6%で、同8月の前回調査に比べて18・2ポイント増えたが、5割をわずかに上回っただけで、認知度がなかなか広がらない。道外でも6・2%で同1ポイント増えるにとどまった。
「知っている」の内訳を見ると、道民では「4月にオープンすることは知っている」が25・4%で前回調査に比べ11ポイント増え、「できることは知っていたが、オープンの時期は知らなかった」が28・2%で同7・2ポイント増えた。道外では「ウポポイそのものを知らなかった」と答えた人は前回の94・8%とほぼ変わらず、93・8%に上った。さらに、ウポポイに「行ってみたい」と答えた道民は61・4%で同7・4ポイント増えたが、道外は50・6%で同2・2ポイント減少し、認知度の向上が急がれている。インバウンド(訪日外国人)への周知も遅れている。
道は2月にも3回目の最終調査を行う予定で、アイヌ政策課は「知っている道民が2人に1人というのは、まだまだPRの取り組みが必要と受け止めている。オープンまでできる限り認知度を高めていきたい」としている。