ゴーン「金融制裁」に反響! 加藤健氏、資金移動を禁じる「ブラックリスト」掲載を目指す

国外逃亡した日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告(65)を、金銭的に追い込もうという活動が注目されている。「アジア調査機構」代表の加藤健氏は、ゴーン被告による卑劣な逃亡劇以降、自身のブログで、国際送金を中継する銀行に「ゴーン被告の起訴内容」などを通報して、資金移動を禁じるブラックリストに掲載させる活動を行い、賛同者を呼びかけている。果たして、効果があるのか。
「日本に強制送還させることは難しいかもしれないが、追い込むことはできるかもしれない」
加藤氏はこう語る。
ゴーン被告は、日産の資金計約11億1000万円を、オマーンの販売代理店に支出させ、うち半額を自身が実質的に保有するレバノンの投資会社「GFI」に送金させるなどして、日産に損害を与えた会社法違反(特別背任)罪で起訴された。
こうした資金還流について、テロ組織などが悪用する「まるでマネーロンダリング(資金洗浄)だ」(検察関係者)との指摘もある。
加藤氏が着目したのは、海外送金する際、送金銀行と受け取り銀行をつなぐ「コルレス銀行」(=仲介銀行、中継銀行)の存在だ。テロリスト顔負けのゴーン被告の起訴内容を伝えることで、コルレス銀行のブラックリストに掲載させることを目指している。
「国際銀行送金を受け付ける窓口は、世界に何十万とあるが、国際送金は数少ないコルレス銀行を通して行われる。コルレス銀行のブラックリストに掲載されれば、世界中の銀行ではねられる」(加藤氏)
つまり、ゴーン被告に実質的な「金融制裁」を科そうという狙いだ。
コルレス銀行への通報は、主にメールで行っている。加藤氏がブログで賛同者を呼びかけた直後から、7000件を超えるアクセスがあり、「送りました」という返信が相次いでいるという。
日産自動車は、ゴーン被告らの不正行為で会社が負った被害総額は350億円以上になるとして、損害賠償請求訴訟を起こす方針を示している。
ゴーン被告の逃げ得は許されないが、今回の活動をどうみるか。
経済評論家の渡邉哲也氏は「銀行に通報があった場合、各国に設置されるFIU(金融情報部門)に報告され、統合された情報はFATF(国際的な金融活動作業部会)に集約される。そのうえで、『疑わしき取引』があった場合は、必要に応じて口座が凍結されることもあり得る。コルレス銀行への通報は、直接大きな動きにつながることは考えにくいが、無意味ではない。銀行への注意喚起になり、ゴーン被告の資金移動が難しくなる可能性もある」と語っている。