世田谷区がホームページ上に開設した区の歴史をまとめた「世田谷デジタルミュージアム」に、研究者らの作成した資料や著作を一時無断で掲載していたことが23日、分かった。
昨年10月の区議会で指摘を受け、区はサイト全体を閉鎖。昨年12月から徐々に再開しているが、著作権の精査に時間がかかり、現在も3割程度が閲覧できない状態となっている。
令和4年に区制90周年を迎える区は、平成29年に区史の編纂(へんさん)委員会を立ち上げた。古代や中世、近現代など各分野の専門家ら約30人が分担して区の歴史を執筆し、29年に本格的な区史の前段階として小冊子「世田谷往(おう)古(こ)来(らい)今(こん)」を発行した。
一方で区教委は昨年4月、区の歴史に関連する文書や写真などを集めたネット上の博物館「デジタルミュージアム」を開設。その際、区史編纂委員会の事務局から世田谷往古来今などに掲載した資料や文章の提供を受けたが、引用元などを示さずに掲載していた。
昨年10月、区史編纂用に研究者が提供した現在の世田谷区に当たる地域を中世に支配していた吉良氏の系図などが「無断掲載されている」と区議会で取り上げられ、問題が表面化。執筆を依頼した際、サイトへの二次利用など権利関係を十分に定めていなかったことが判明し、区は著作権侵害を認めてサイトを閉鎖するとともに研究者に謝罪した。
著作権の有無など確認を進め、昨年12月以降、郷土資料館の案内や区のお知らせなど、サイトは徐々に再開しているが、中核となる「世田谷区の歴史」コーナーなど、サイト全体の3割程度は閲覧できない状態が続いている。
区史編纂委員を務める研究者の一人は「仮にサイトへ掲載されても区側との信頼関係があれば問題視しないが、現在はその段階にない」と不信感をあらわにしており、完全公開への見通しは立っていない。
区の担当者は「あいまいなやり取りで執筆を依頼してしまっていた。執筆者の理解を得るなど著作権関係をクリアし、なるべく早く区民に見てもらえるようにしたい」と話している。