厚生労働省は29日、日本人初の感染例となった60代の男性が運転していたバスに同乗していた大阪府在住の40代女性バスガイドが、新型コロナウイルスに感染したことを確認したと発表した。また、奈良県の荒井正吾知事は男性が運転するバスが武漢市の中国人団体旅行客を乗せ、奈良公園に約1時間、立ち寄ったと説明した。この日、中国本土での感染者は6000人を突破。2002~03年に大流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染者数を上回った。
厚労省によると、ガイドの女性は12日から17日まで、武漢市からの団体旅行客を乗せたバスに乗車していた。20日に発熱し、東京都内の医療機関で受診した。22日に体調不良で勤務を交代して大阪市内の自宅に戻った。23日になっても症状が改善せず、大阪府の医療機関で肺炎と診断され、入院した。症状はせきのみで改善したが、現在も経過観察のため入院している。
女性は外国人(国籍不明)で、武漢への滞在歴はなく、中国語でガイドを担当していた。国内感染者の確認は8例目となる。感染経路はツアー客からか、運転手の男性からか詳細は不明。奈良県は男性の濃厚接触者がこの日午後5時現在、県内に17人、県外に5人の計22人としており、うち1人が女性バスガイドだった。
男性は8~11日、12~16日の2回、ツアー客をバスに乗せ、関西空港と成田空港を行き来した。このうち12日からのツアー客が16日に奈良公園を訪れたという。男性は奈良県内ではバスの外に出ておらず、バス内での感染の可能性が高いとしている。県の担当者は奈良公園に立ち寄ったことを明かした理由について「不正確な情報で疑心暗鬼を生まないため」と説明した。
シカの放し飼いで有名な奈良公園一帯の寺社では、感染予防に取り組み始めた。春日大社では23日から巫女(みこ)がマスクを着用して参拝者に対応。祈祷(きとう)所などの職員もマスクとアルコール消毒による感染予防を実施している。興福寺では感染者が出た場合の対応マニュアルの検討を開始。東大寺も職員向けにマスクや消毒液の配備を増やした。
また山梨県は奈良県からの情報として、この男性が運転し、中国人客が乗ったツアーバスが今月3回にわたり2日ずつ山梨県内を訪れていたと発表した。バスが訪れたのは、9~10日、12~13日、19~20日。1、2回目は武漢市、3回目は大連市からの客だった。男性はいずれも山梨県内に宿泊した。詳細なルートや宿泊先は公表していない。
一方、大阪市の松井一郎市長は、男性が運転したバスの立ち寄り先をより詳細に公表するよう国に求めた。「大阪から東京に運んでいる。ある程度のルートを公表してもらわないと対応できない。捉え方が緩い」と苦言を呈した。