国内最大級パラボラアンテナ解体へ 茨城・台風15号で破損 プレート観測で功績

国立研究開発法人・情報通信研究機構(NICT)は30日、鹿島宇宙技術センター(茨城県鹿嶋市平井)にある巨大パラボラアンテナを今夏にも解体撤去すると発表した。台風15号による暴風で破損し、運用の継続は難しいと判断した。
アンテナは、直径34メートルで国内最大級。1988年に、地球表面を覆うプレートの動きを測る主要機器として整備された。天体から届く電波を受信し、海外の同様の施設と協力して互いの距離を計測、日本の位置などを正確に示した。
国土地理院(つくば市)と共同で実施した観測では、プレートの動きから東京・父島が本州に近づいていることを突き止めた。小惑星探査機「はやぶさ」の軌道計算の際には、アンテナを使った研究が役立てられたという。こうした数々の成果を残し、約30年にわたって市民に親しまれてきた。
ところが2019年9月、台風15号の暴風でアンテナの駆動装置が全壊した。修理には、数億円の費用と数年の期間がかかると見込まれたため、NICTは老朽化していることも考慮して撤去を決めた。
NICTによると、プレートの動きは東京都内のNICT本部のアンテナ(直径11メートル)などでも観測するため、影響はないとしている。
4月に「お別れ会」
NICTは4月25日、鹿島宇宙技術センター(鹿嶋市平井)でアンテナの「お別れ会」を開催する。施設を開放し、アンテナが果たした役割などについて専門家らが講演する。参加無料。参加希望者は事前の申し込みが必要で、31日から、NICTの公式サイトで受け付ける。
鹿嶋市の錦織孝一市長は30日、「ランドマークとして市民から親しまれてきたアンテナの撤去は寂しいが、センターの研究施設としての価値や地域への貢献については、引き続き期待しています」とコメントした。【根本太一】