「飛行中の事象」含め調査 福島・ヘリ不時着で運輸安全委が現地に

福島県郡山市で1日に県警のヘリコプターが不時着、横転した事故で、国の運輸安全委員会の航空事故調査官3人が2日、現地調査した。調査後に取材に応じた奥山克也調査官は、機体の破片が周囲数百メートルに飛散していたことを明らかにし、「不時着の衝撃とは考えにくい。飛行中に何らかの事象が起きた可能性を含め、調査を進める」と語った。
調査官による現地調査はこの日で終わり、今後は搭乗者への聞き取りや飛行データの解析などを進めるという。
調査官らは2日午前9時から調査を開始。県警とともに機体の確認や周囲に飛び散った破片の捜索を行い、周辺住民から当時の状況を聞いた。
奥山調査官によると、ヘリのメインローター(主回転翼)5本全てが横転の衝撃で根元から破断していた。ランディングギア(着陸用の装置)が下ろされてタイヤが出た状態だったため、操縦士が不時着を試みたことが裏付けられるという。
操縦士の男性警部(38)は「風にあおられた」と話しているが、現時点で不時着の原因は特定できないといい、奥山調査官は「フライトレコーダーの分析や、搭乗者全員へのインタビューを通じて明らかにしたい」と話した。
事故は1日午前8時10分ごろに発生。臓器移植用の心臓を搬送中だった県警航空隊のヘリが水田に不時着、横転し、搭乗していた警察官や医師ら7人が重軽傷を負った。【寺町六花】