愛知県職員がいったん保護した身元不明の70代男性を公園に放置し、立ち去っていた問題で、職員が虚偽の説明で事実を隠蔽(いんぺい)し続けていたことが4日、判明した。県福祉局の平田雅也局長らが同日開いた記者会見で明らかにし「職員の公務員としての使命感、責任感が欠けていた」と述べた。県はこの日初めて家族に経緯を説明して謝罪した。
県によると、県海部福祉相談センター職員3人は1月17日、県警津島署から、会話ができない状態の男性を引き継いだ。海部東部消防組合などに連絡したが、受け入れ先を見つけられず、同日深夜、組合管轄外の名古屋市中村区の公園に男性を連れて行き、119番した上で立ち去った。
男性は市消防局から連絡を受けた県警中村署に公園内で保護され、18日から同県稲沢市内の宿泊所に入所。20日に衰弱が見られたため病院へ搬送され、脳梗塞(こうそく)の疑いがあり今も治療を受けている。この日初めて県の謝罪を受けた家族は「人としてあり得ない行為」などと憤っているという。
また、県は職員が同区の公園の公衆電話から119番した際、偽名を使っていたことも認めた。18日に中村署から「意図的に置き去りにしたのではないか」と問われた職員は「逮捕されるのか」と不安になり上司に相談。上司の指示で「本人が自らの意思で立ち去り、見失った」と虚偽の説明をした。28日、同署から呼び出しを受けたセンター次長が「真実を話すように」と指示するまで、置き去りにした事実を隠し続けていたという。
緒方武俊・地域福祉課長は虚偽説明を続けたことについて「職員は『致し方なかった』と話している」と説明。最も若い職員は「後から考えると上司の指示に反対することもできた」と反省しているという。偽名を使った理由は、別の案件だと見せるためだったとみられるが、緒方課長は「聞き取り調査ができていない」とした。
夜間や休日に身元不明者を保護したケースは、県内で過去3年間に一件もなかったといい、平田局長は「今回の事例を検証し、対応マニュアルを整備するなどして再発防止に努める」と述べた。大村秀章知事もこの日開いた別の記者会見で「福祉、医療、人命に関することで、ゆゆしき事態。ご家族に心からおわびしたい。担当職員は厳正に処分する」と話した。【竹田直人】