「恵子が帰ってきた時、親がそろって迎えたい」 有本嘉代子さん死去

北朝鮮による拉致被害者の帰国を訴えた神戸市長田区の有本嘉代子さん(94)が亡くなり、兵庫県内の関係者らから追悼の声が相次いだ。
夫明弘さん(91)は6日の記者会見では涙を流し、言葉を絞り出すのがやっとだった。
家族によると、今年1月12日、拉致被害者の三女恵子さん(行方不明時23歳)の誕生会の前、明弘さんは嘉代子さんを見舞った。ほとんど会話ができず、明弘さんは病室で「長いこと世話になったな」と「別れの言葉」も伝えたという。
支援団体「救う会兵庫」の長瀬猛代表(51)は「帰国どころか、生存の確認すら伝えられなかった。ただ申し訳ない」とわびた。1996年ごろに嘉代子さんの署名活動に参加してからともに運動を続けてきた。「政府や世論への不満は多々あったと思うが、『この国を信じなければ始まらない』と言っていた。心の強い方だった」と振り返った。
救う会兵庫の島尾百合子副代表(61)は「ずっと頑張ってこられた。休んでいただきたい」と弔意を示した。嘉代子さんが90歳の時、心臓手術が成功した後に「恵子が帰ってきた時、この家で親が二人ともそろって迎えてやりたい」と語ったことが印象的だったという。「無念の思いを引き継ぎ、運動を続けたい」と誓った。
井戸敏三知事は「恵子さんの帰国がかなうことなく、大変ご無念であったろうと思います。ご冥福をお祈りします」との談話を出した。神戸市の久元喜造市長は「一日も早い拉致問題の解決を願うとともに、心より哀悼の意を表します」とコメントした。【藤顕一郎、韓光勲、春増翔太、反橋希美】