【鳥海 高太朗】新型コロナ騒動のウラで、「格安LCC」で大損した30代女性の悲劇 こんな状況でも「返金不可」

中国・武漢で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の影響は世界中を駆け巡っている。感染を阻止する為に各国政府では、入国制限を実施する国が増えている。
それに伴い、中国本土を発着する路線の多くが、一時運休もしくは減便している。
ANAでは成田~武漢線に続いて、2月10日以降3月28日までの成田~北京線を一時運休。羽田~北京線を3月28日まで1日2往復を1往復に減便することを発表したが、更に2月6日には、追加で2月10日~3月28日の成田~杭州線など6路線、2月17日~3月28日の関西~香港線を一時運休するなどの措置も新たに発表した。
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JALも2月17日以降3月28日まで成田~北京線など3路線を一時運休、羽田~北京線と関西~上海(浦東)線を1日2往復から1往復に減便、羽田~広州線と成田~大連線を1日1往復から週4便に減便することを発表。2月5日には、新たに2月6日~17日までの北京から羽田・成田、上海から成田への現地を午前に出発する便を運休するとした。
それに加えて中国系航空会社では、日系航空会社以上に相次いで一時運休・減便に追い込まれている。

2月4日に関西空港を運営する関西エアポートが発表したデータによると、中国本土への欠航便は、2月3日~9日までの1週間で週612便中262便が欠航予定であることを発表。約43%の欠航率となる。一部便を除き、ほとんどが中国の航空会社の便となっているようだ。
既に日本と中国本土を結ぶ便においては、購入済みのチケットであっても、<キャンセル料なしでの払い戻し>、もしくは<無料での変更>という対応が多くの航空会社側で取られている。
しかしながら、対応に揺れている場所がある。それが香港だ。
香港への飛行機は、民主化運動の影響で既に一部の便が運休になっているが、今回の新型コロナウイルス関連での一時運休は、香港エクスプレスの香港~下地島(宮古)とANAの香港~関西のみだ。
香港は1997年にイギリスから中国へ返還され「中華人民共和国香港特別行政区」となった。しかし返還後も、中国本土のボーダーライン(国境)や香港国際空港に中国本土から到着した場合には入国審査が行われている。
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そのような状況の中で、例えばアメリカ政府は中国本土(Mainland China)に過去14日間滞在した外国人の入国を禁止しているが、この中国本土に香港・マカオは含まれない。シンガポール、ニュージーランド、オーストラリアなどにおいても同様の入国制限を実施している。
ちなみに日本においては、2月1日より入国する14日以内に中国の湖北省での滞在歴がある外国人及び湖北省で発行された中国人パスポート所持者の入国を拒否する運用を開始した。

しかし、湖北省以外から中国本土からの入国は制限されておらず、香港・マカオからも通常通りに入国できる。香港・マカオでの滞在で入国制限しているのは、フィリピンなど限られている。
このような状況であることから、中国本土に国境を面している香港やマカオへの旅行や出張に不安を持っている人も多く、中止や延期にしたいと思っている日本人も多いだろう。ところが、既に航空券を購入している場合においての対応が航空会社によって大きく異なっているのが問題だ。
航空会社の対応は、主に3つに分類することができる。
一番柔軟な対応をしているのが、「ANA(全日本空輸)」と「JAL(日本航空)」の2大エアライン、そして「キャリアキャセイパシフィック航空」の3社だ。
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3社共に、<3月31日搭乗分までの中国本土及び香港を発着する航空券を持っている場合、キャンセル料なしでの払い戻し>、もしくは<4月20日までの期間内(キャセイパシフィック航空は6月30日まで)で1回のみの搭乗日変更>、もしくは<キャンセル料なしでの払い戻し>が可能となっている。
次に<変更のみ無料>という取り扱いをしているのが、香港の「香港航空」だ。
<2月29日までの予約に対して、6月30日までの期間内への搭乗日変更を手数料なしで可能>としているが、<キャンセルについては通常通りのキャンセル料が必要>という取り扱いとなっている。

一方、日本人においてキャンセル・変更の取り扱いをしていないのがLCC各社だ。
「香港エクスプレス」、「ピーチ」、「ジェットスター・ジャパン」では、日本~香港線については通常通りの運用となっており、変更・キャンセルは通常時と同じルール運用を継続していたが、この数日でも状況が変化している。
その中でもとりわけ「対応に不満」との声が挙がっているのが香港エクスプレスだ。
当初、香港エクスプレスでは<日本への入国制限がある湖北省からの利用者のみ変更・キャンセルに無料対応する>という案内であり、コールセンターやメールで問い合わせても変更・キャンセルに応じられないという一点張りで、その苦情がネット上にも多く掲載されている。
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今回取材に応じてくれたのは、東京都在住の30代の会社員の女性。2月21日~24日の香港エクスプレスの成田~香港線を7人で予約済みで、合計12万9000円を支払ったそうだ。
もし通常ルールでのキャンセルであれば、空港税などの諸経費分約3万2000円のみ返金され、残りの約9万7000円は返金されない、と言われたという。

女性は「香港では政府の職員にも在宅勤務を命じているなかで、<キャンセル料なしでの払い戻し>に応じるべきだ」と話す。
この女性はLCCに乗り慣れており、「基本的にLCCがこちら都合でのキャンセルは格安の運賃なのでできないことは重々承知しており、過去にも子供の体調不良などでチケットを無駄にした事もある。もちろん、それは納得の上ではあるが、今回は国際的な重大な問題なのに、キャンセル出来ないのはおかしいと思う」と、ルールを熟知した上で語った。
基本的にLCCは、飛行機が飛べば払い戻しをしない運用をしている。しかし今回のように出発を見合わせることで感染拡大のリスクを減らすという状況下であっても、「キャンセル料がもったいないから、無理してでも出かけるべき」だと航空会社側が推奨していると思われても仕方がない運用とも言える。
2月5日になって香港エクスプレスは、<3月28日搭乗分までの航空券について6ヵ月以内の別日への変更手数料を無料にする>ことを発表したが、払い戻しについては<中国のパスポート保有者、もしくは湖北省からの出発を証明する場合に限ってのみキャンセル料なしでの払い戻し>に応じており、日本人の場合は<変更のみの取り扱い>となる。
この女性のケースでは、変更が可能になったことで一旦変更して様子を見るという新たな選択肢はできた。しかし、今日までに出発の場合で泣き寝入りしたケースもあるだろう。

現在、1日ごとに情報が更新されており、航空券の特別扱いのルールも日々変わっている。ピーチも筆者の取材では「中国本土居住者については香港線を含む全路線(日本国内線を含む)において無料でのキャンセルに問い合わせベースで応じている」とのことであるが、今後の状況によって変更される可能性もありそうだ。
中国本土においては出張や旅行の見合わせがほとんどとなるが、香港へ渡航予定がある場合には最新の情報を各航空会社のホームページなどで調べた上で判断して欲しい。