新型コロナウイルスの患者数が、日毎に増加している。その影響は、ネット通販の世界にも当然及んでいる。Amazonではマスクが常識外の高額で販売され、消費者を大いに呆れさせている。が、今や街中の薬局に行ってもマスクは品切れ。病院ですらも医療用マスクの在庫がなくなってきている。
もはや、ネット通販やオークションサイトで高額のマスクを買うしかないのか。そう考える人がいるのなら、ちょっと待ってほしい。
◆マスクを高値で売ろうとする業者が登場
Amazonが「闇市」と化している、と知人から相談された。その知人は忙しい男で、普段はあらゆる買い物をネット通販に頼っている。Amazonでマスクを買おうと思ったが、彼は驚愕した。60枚入りの徳用箱詰めマスクに8000円という値がついている。
それだけなら実はまだいいほうで、中には7枚×5セットで7000円というのもある。Amazonは一体どうなっているんだ、というのが知人の嘆きである。
これに類似したことは、以前からしばしば発生している。マスクに限らず、何かしらの生活必需品が品薄になった時は多くの人がAmazonに頼ろうとする。即ち、そうした大衆心理を狙っている業者がいるということだ。
数年前にバターが品薄になった時も、Amazonでは定価の何倍もの値段でバターが売られるという現象が起こった。なぜそのようなことがあるかというと、結局は商品を買う人がいるからだ。現代社会では、常にミニバブルが発生している。『鬼滅の刃』が大人気作品になると、その関連グッズが買い占められてネットオークションで転売される。東宝制作のミュージカル『レ・ミゼラブル』のキャストがテレビ番組で取り沙汰されると、帝劇公演のチケットがあっという間になくなりオンライン市場に流れる。
転売業者は、常にミニバブルの発生にアンテナを張っているのだ。
◆数千枚単位のマスクが高値で取引
ヤフオクでは、さらに驚くべき光景が繰り広げられている。「マスク」と検索して出てくるのは、いずれも1000枚単位の出品。即決価格が10万円を超えるものも珍しくない。新型肺炎の騒動がなければ、絶対に売れないであろう値段設定の商品だ。
これらの「転売マスク」に怒りを向けるのは簡単だが、現実問題としてマスクは実店舗から姿を消している。もしも今以上に新型肺炎の日本国内患者数が増加したら、嫌でも法外な値のマスクを買わざるを得なくなるのでは――。
ここで筆者は、この記事の結論を書いてしまうとする。「高値のついたマスクを買う必要はない」と。「品薄商品の転売」とは、言い換えれば「投機」である。投機はそもそもが長続きしない行いだ。生産各社も、指をくわえて状況を眺めているわけではない。既にマスクの生産計画を見直し、需要に応じた増産へ歩みを踏み出している。流通に関わる業者も、それに歩調を合わせるに違いない。
転売業者撲滅のための有効策、それは正規価格の商品が出回るまで消費者が「待つ」ことである。政府がマスクの増産を呼びかけ、メーカー側も生産ラインを増やすなど急いでいるところだ。
◆オンライン通販各社が動く
また、オンライン取引仲介各社も黙ってはいない。メルカリは公式ブログで、こう呼びかけている(以下、引用)。
<昨今、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マスクの需要が急激に高まり、日本全国でマスクが品薄状態になっております。それに伴い、メルカリ上でもマスクの出品数・購入数が増加しております。
マスクは禁止出品物には該当しませんが、利用者の皆さまにおかれましては、社会通念上適切な範囲での出品・購入にご協力をお願いいたします。また、お客さまのお取引の状況によっては、事務局から入手経路を確認させていただく場合や、商品の削除・利用制限等を行わせていただく場合もございます>
このように、ネットを通じた転売行為は運営もしっかり認識している。あまりに法外な値の商品が溢れるようになると、世論はオンライン通販サイトを非難するようになる。ネットビジネスにとって、悪評は足枷以外の何ものでもない。
以上の理由から、ネット上に横行するマスクの高額転売は近いうちに利益が見込めなくなるのではないか。<文/澤田真一>
【澤田真一】
ノンフィクション作家、Webライター。1984年10月11日生。東南アジア経済情報、最新テクノロジー、ガジェット関連記事を各メディアで執筆。ブログ『たまには澤田もエンターテイナー』