持病薬も切れ「迎えにいきたい」 船内待機の80代両親を案じる息子

「できることならすぐ迎えに行きたい」-。新型コロナウイルスの集団感染があったクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に80代の両親が乗っている福岡市の会社役員男性(49)が7日、西日本新聞の取材に応じ、長期の船内滞在を余儀なくされた2人の体調を案じた。電話で聞く両親の声は「次第に張りがなくなってきた」。父の持病の薬が切れており、男性は心が休まらない。
松江市に住む会社会長の父(88)と母(83)は年に1度のクルーズ旅行が趣味。ショーや映画を楽しみながら移動できる旅を気に入っている。
船内で受けたコロナウイルス検査は幸い陰性だったが、感染拡大防止のため客室で待機を求められ、父は「人と会えないのが一番つらい」と漏らす。父の糖尿病の薬がないことは船側に伝えているが、「重篤な方から配る」と、時間がかかる見通しを伝えられた。
当初、深夜にサンドイッチだけが出されることもあった食事は提供が早くなりメニューも選べるようになった。一方、スマートフォンの操作が分からずインターネット検索を使えない中、情報源は船内放送や客室のテレビに限られる。男性は「必要最低限の物資と情報を乗客に提供してほしい」と政府や船会社への切実な望みを語った。
男性は関連ニュースを調べては1日何度も電話で伝えている。大学生や高校生の子どもたちも、船上の祖父母を励ます。男性は「今は両親とも家族と話すのが唯一の楽しみだと思う。うちの親も多少の不便は我慢するはず。せめて健康面だけでも安心できる環境が早く整ってほしい」。祈るように話した。 (坂本公司、下村ゆかり)