「(姓を変えるのがいやなら)結婚しなければいい」 衆院の代表質問で1月、国民民主党の玉木雄一郎代表が選択的夫婦別姓の導入を求めた際、自民党議員がこんなヤジを飛ばした。しかし、このヤジをきっかけに、選択的夫婦別姓を求める声がさらに高まっている。 現在、夫婦は同姓であることが民法750条によって義務付けられている。結婚の際に夫か妻かどちらかの姓を選べるものの、9割以上の女性が結婚の際に改姓しているのが現状だ。改姓による不利益や、男女の不平等を解消しようと、複数の夫婦別姓訴訟が争われ、その導入を司法の場で訴えてきた。 一方、内閣府が2017年に実施した世論調査で、67%が選択的夫婦別姓を容認。朝日新聞が1月に実施した世論調査でも、69%が賛成、50代以下の女性では8割以上が導入に賛成している。こうした中、ヤジは大きな批判を浴びた。 批判の声を受けて自民党の中でも検討の必要性を認める向きも出てきた。思わぬ「ヤジ効果」で、選択的夫婦別姓の議論はどう動いたか。夫婦別姓訴訟に携わっている弁護士や、議会や議員への働きかけをしている民間団体に話を聞いた。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香) ●「ヤジを飛ばした国会議員は憲法上の職務に違反する」 まず、今回の自民党議員による「ヤジ」は何が問題だったのだろうか。夫婦別姓訴訟でサイボウズの青野慶久社長の代理人を務めている作花知志弁護士は、次のように指摘する。 「国会議員が『それなら結婚しなくていい』とのヤジを飛ばしたことについて、大きな悲しみを感じています。 憲法上、婚姻の自由が基本的人権であることは明白です(憲法24条1項)。しかし、姓を変えなくてはいけないために、結婚ができないという人がいます。 このヤジは、現在の法律制度を変えるべきではないか、という質問に対して、基本的人権を享受しなければいいではないか、と答えたことを意味します。 また、憲法が基本的人権を保障していることは、『多数決では奪うことができないものがある。それが人権である』という理念を保障したことを意味します。 国会議員に求められていることは、多数決で決めた一定の価値観を全国民に義務づけることではなく、国民の間で多様化している家族観に適合した多様な選択肢を有する法律制度を構築することです(憲法24条2項)。 その意味で、国会議員が飛ばしたヤジの内容は、その憲法上の職務に反するものです」 ●自民党や公明党でも広まる導入への動き
「(姓を変えるのがいやなら)結婚しなければいい」
衆院の代表質問で1月、国民民主党の玉木雄一郎代表が選択的夫婦別姓の導入を求めた際、自民党議員がこんなヤジを飛ばした。しかし、このヤジをきっかけに、選択的夫婦別姓を求める声がさらに高まっている。
現在、夫婦は同姓であることが民法750条によって義務付けられている。結婚の際に夫か妻かどちらかの姓を選べるものの、9割以上の女性が結婚の際に改姓しているのが現状だ。改姓による不利益や、男女の不平等を解消しようと、複数の夫婦別姓訴訟が争われ、その導入を司法の場で訴えてきた。
一方、内閣府が2017年に実施した世論調査で、67%が選択的夫婦別姓を容認。朝日新聞が1月に実施した世論調査でも、69%が賛成、50代以下の女性では8割以上が導入に賛成している。こうした中、ヤジは大きな批判を浴びた。
批判の声を受けて自民党の中でも検討の必要性を認める向きも出てきた。思わぬ「ヤジ効果」で、選択的夫婦別姓の議論はどう動いたか。夫婦別姓訴訟に携わっている弁護士や、議会や議員への働きかけをしている民間団体に話を聞いた。(弁護士ドットコムニュース編集部・猪谷千香)
まず、今回の自民党議員による「ヤジ」は何が問題だったのだろうか。夫婦別姓訴訟でサイボウズの青野慶久社長の代理人を務めている作花知志弁護士は、次のように指摘する。
「国会議員が『それなら結婚しなくていい』とのヤジを飛ばしたことについて、大きな悲しみを感じています。
憲法上、婚姻の自由が基本的人権であることは明白です(憲法24条1項)。しかし、姓を変えなくてはいけないために、結婚ができないという人がいます。
このヤジは、現在の法律制度を変えるべきではないか、という質問に対して、基本的人権を享受しなければいいではないか、と答えたことを意味します。
また、憲法が基本的人権を保障していることは、『多数決では奪うことができないものがある。それが人権である』という理念を保障したことを意味します。
国会議員に求められていることは、多数決で決めた一定の価値観を全国民に義務づけることではなく、国民の間で多様化している家族観に適合した多様な選択肢を有する法律制度を構築することです(憲法24条2項)。
その意味で、国会議員が飛ばしたヤジの内容は、その憲法上の職務に反するものです」