鳥取県を代表する観光地の鳥取砂丘(鳥取市)西側の市有地に高級リゾートホテルを建築する計画が進んでいる。
かつてもホテル進出の話があったがリーマンショックの影響で中止。その後、美術館を誘致する話もあったがまとまらず、利活用されてこなかった。なぜいま、ここに高級ホテルを建設するのだろうか。
雪置き場が高級ホテルに
計画地は国民宿舎「砂丘荘」と隣接する「旧青年の家」の跡地。砂丘を見渡せる高台の約1万8千平方メートル。この土地には平成19年に大阪市の業者がホテル建設を計画したが、リーマンショックによる景気の悪化で、白紙に戻った。その後、県立美術館を誘致する話もあったがまとまらず、除雪後の雪置き場などに使用されていた。
この場所をめぐって長野県軽井沢などでリゾートホテルを手掛ける不動産開発会社「dhp都市開発」(大阪市)が、市有地を1億2千万円で購入し、ホテルを開業することで合意し2月4日、鳥取市役所で市と基本協定などを結んだ。市が昨年11月に「公募型プロポーザル」で事業計画を公募。3社(1社は辞退)の応募から同社の計画を選んでいた。
投資額は70億~80億円で、鉄筋コンクリート造り3階建ての北棟と南棟を建てる。建物を2つにすることで高さを抑え、周辺の景観にも配慮する計画だ。令和4年11月の開業を予定している。
部屋はツイン、トリプルなど計約150室。一室あたり約30平方メートルのゆったりとした広さにする。料金は一泊3万~3万5千円からを想定している。
外国人観光客が急増
同社の榎本泰之社長は「カニや鳥取和牛、夜の星空を体験してもらい、山陰地方のインバウンド(訪日外国人)の拠点になるホテルにしたい」と抱負を述べた。
訪日外国人客の長期滞在を見込み、周辺のアクティビティーを案内する砂丘コンシェルジュカウンターを設置。温泉を活用したリラクセーション施設や複数のレストラン、砂像を展示するスペースなどを設ける。
中国や韓国など東アジアに加え、長期滞在が期待できる欧米の観光客も取り込む。稼働率は松葉ガニを味わえる冬が80%以上、夏は65~70%を目指す。
鳥取市によると、入り込み客数が災害の影響などで減少する中、同市は外国人観光客の宿泊数が急増。市内にホテルが少なく、イベントなどの際に「予約が取りにくい」と指摘されてきた。
砂丘に雪が降る
榎本社長は進出理由について「約2年前に雑誌で雪が積もった鳥取砂丘の写真を見て感動したのが原点」とも話した。「一つの財産になる」と感じ、市の公募前から砂丘に隣接する土地を探していたという。
「砂丘の近くに海があり、雪が降るところは世界のどこにもない」と話すのは、同ホテルの運営を手掛けるホテルマネージメントジャパン(東京都)の高橋アラン社長だ。
ハワイ出身の高橋社長も、約40年前に同県米子市で暮らす友人と初めて砂丘を訪れたときの感動が今でも忘れられないという。「世界に砂丘を紹介するのが夢だった。鳥取砂丘の魅力を世界に広めたい」と話している。
鳥取砂丘をめぐっては、砂の美術館や土産物店などがある東側に観光客が集中。一方、西側にも体験施設「チュウブ鳥取砂丘こどもの国」やゴルフ場、キャンプ場などがあるものの、東側に比べて観光客が少なく、振興策が課題となっている。
鳥取市の深沢義彦市長は「市内にこれまでなかったハイグレードなホテル。砂丘の新たな魅力創出につながる」と期待を寄せる。