名古屋市交通局の男性職員いじめ自殺を認定 7300万円支払い命令 名古屋地裁

名古屋市交通局の嘱託職員だった男性(当時32歳)が自殺したのは、上司によるいじめが原因だとして、母親が名古屋市に約9000万円の損害賠償を求める訴訟があり、名古屋地裁(井上泰人裁判長)は17日、いじめを認め、市に約7300万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は2013年4月に採用され、藤が丘工場(同市名東区)に配属。配属後まもなく、男性上司から「いつまでこの職場にいるんだ」「辞めろ」などの暴言を継続的に受けた。正規職員への登用が困難と不安をあおったり、精神障害を抱えているかのような人格を否定する発言もあったという。
市は「言動は業務指導の範囲内」などと主張したが、判決では「指導として正当化する余地がなく、過重な心理的負荷は明らか」と指摘した。男性は15年4月、市内の公園の路肩に停車した自動車の中で自殺しており、「男性上司の言動で心理的負荷を受け続け、精神障害を発病し自殺に及んだ」と認定した。
男性の母親は「交通局には事実を認めてもらい改善、改革してほしい」とコメント。市交通局担当者は「判決文を精査して適切に対応したい」と話し、男性上司への処分については「個人情報なので答えられない」とした。【川瀬慎一朗】