湖北省在留邦人ら希望者は全員帰国…外務省幹部「これで一区切り」

新型コロナウイルスの感染が拡大している中国湖北省の在留邦人ら65人を乗せた政府のチャーター機第5便が17日、羽田空港に到着した。これまでに同省武漢市に派遣した計5便で828人が戻り、湖北省在留の帰国希望者は全員帰国した。
外務省によると、チャーター機支援のため武漢入りしていた政府職員も全員、第5便で帰国した。第5便が最終便となるため、政府は、帰国を希望する在留邦人らが取り残されることがないよう、現地での呼びかけに加え、勤務先の企業の本社にも働きかけて帰国を促した。外務省幹部は「これで一区切りだ」と語った。
政府は、湖北省からの在留邦人らの帰国が完了したことを受け、それ以外の地域の対策を進める考えだ。
外務省は12日、中国全土を対象に、早期の一時帰国や渡航延期を「至急検討」するように促す海外安全情報を出した。中国との航空便を減便・運休する動きが広がっているためだ。
14日には、感染率が高い浙江省温州市に対して、感染症危険情報を2番目に高いレベル3(渡航中止勧告)に引き上げた。浙江省には日本企業が多く、邦人も3000人程度いる。「中国政府から食品や生活用品の安定供給を求められている」(流通大手)などとして、勤務先の判断で現地に残る邦人も少なくないという。
政府は、浙江省全体をレベル3に引き上げることも検討しているが、「経済活動にかなり影響が出るほか、帰国のためのチャーター機派遣が必要になる可能性がある」(外務省幹部)ため、慎重に判断する構えだ。