「本当はこんなところにいるんじゃなくて、家族で一緒に家にいたかった」――。新潟市水道局の男性職員(当時38歳)が上司からのパワハラを苦に2007年に自殺した問題で、男性の妻(50)の支援団体が17日、新潟市中央区で集会を開き、中学2年の長女(14)が初めて公の場で父親への思いを語った。
男性は長女が1歳の時に亡くなった。妻によると、男性が家族旅行するため有給休暇を取ってから、上司から長時間厳しく叱られるなどのパワハラを受けるようになった。市は公務災害認定後もパワハラを否定し、現在も新潟地裁で係争中。
長女は「物心ついたとき、私にパパはいませんでした」と、声を震わせ語り始めた。これまでは母だけが裁判や集会に出席していたが、「水道局が謝らず、母が一人で闘っている。私にできることは何か考え、勇気を振り絞ってここに来ました」と話した。
父親がパワハラを苦に亡くなったことは小学校高学年の時に母親から聞いた。「私だってパパと一緒に遊んだり、学校行事に来たりしてほしかった。パパの優しく、温かい手で抱きしめてもらいたかった」
「謝らないということは反省していない。反省していないということは悪いと思っていない。だからまた誰かをいじめてしまう」と長女は震える声で訴えた。「こんなに悲しみ苦しむのは、私たちだけで終わりにしてほしい。水道局はパパの命を奪ったことを謝り、きちんと反省してほしいです」【井口彩】