九州新幹線・長崎ルートで佐賀県内を通る未着工区間(新鳥栖―武雄温泉)の整備方式を巡り、佐賀県と国土交通省が文書で交わす事務レベル協議が停滞している。本格的な協議入り前の文書のやり取りについて、赤羽一嘉国交相は「大変当惑している」と述べ、県側も「確認したいことへの回答になっていない」と反発、両者の溝は深まるばかりだ。
2019年12月、赤羽氏が山口祥義知事と面談した際に要請した「幅広い協議」の在り方について、事務レベルで確認することから始まった文書のやり取り。だが今月14日、赤羽氏は「私としてはそういうことで申し上げたのではない。知事に直接言わないといけないかなと思う」と、遅々として進まない協議に不快感を示した。
12日に同省に質問書を送付してからわずか2日後に返答を受けた県側も「本当に書いてほしいことを書いてもらえていない状況」(県関係者)だ。南里隆・地域交流部長は「(フル規格が適当とする)与党の方針との関係を聞いたが、明確な答えがない」と一蹴。「文章は丁寧に書かれているが、中身は冷たい」とも述べた。
また、同省は「これまで議論されてきた各方式の考え方の総括を示したい」と回答。これに対し、県関係者は「国は五つの方式を並べるが、県が求めているのは一回ゼロにして話すということ。与党の方針と切り離し、ゼロから話せるかを確認したい」と強調した。【竹林静】