口封じの国策捜査で実刑に…森友事件の真相は解明されず

【籠池夫妻 法廷闘争記】

籠池夫妻の法廷闘争は1審判決を迎えても、ただでは済まない。赤の“勝負ネクタイ”を締めて大阪地裁に現れた籠池泰典前理事長。妻の諄子さんも負けじと鮮やかなオレンジのコート姿で報道陣に検察の不当さを訴えた。

公判は冒頭、弁護側の申し立てで判決前に弁論が再開された。これ自体異例だが、途中で諄子さんが弁護士にしきりに何かを訴え涙ぐんでいる。意見が通らず感情が高ぶったのだという。そこで裁判長が休憩を宣言する珍しい事態に。20分ほどで再開した時は落ち着きを取り戻していた。

1審判決は、籠池泰典前理事長が懲役5年の実刑、諄子さんが執行猶予の付いた懲役3年。しかし、この裁判で何が解明されたのだろう?

裁判をずっと傍聴してきて私が感じたのは「とにかく何が何でも夫妻を有罪にしたい。特に前理事長を実刑にしたい」という検察の強い意向だ。判決はまさにその通りになった。

詐欺の共犯とされた設計業者らは逮捕も捜索もされず罪に問われていない。籠池夫妻だけが逮捕され300日間にわたって勾留された。この点を籠池前理事長は「口封じのための国策捜査だ」と法廷で訴えた。

何の口封じか? 森友事件の「本丸」である国有地の不当な値下げ。小学校の用地として財務省近畿財務局が学園に売った国有地は8億円も値下げされていた。その小学校の名誉校長は安倍昭恵首相夫人だった。

「その経緯をしゃべられたくないから、別件で逮捕されたのだ」と前理事長は訴えた。

不当な値引きを行った近畿財務局による背任。その経緯を記した公文書の改ざんを指示した財務省の佐川宣寿理財局長(当時)ら。昭恵夫人の名前はすべて消された。こうした森友事件の本丸の刑事責任は一切問われていない。裁判にならないから真相は解明されない。だから“国策捜査”を訴える籠池前理事長の主張にも一定の理があると感じるのだ。

■夫人は「人生いろいろ」

判決後の諄子さんはさばさばした表情だった。

「人間社会では有罪かもしれないけど、神様の世界、私の心の中では無罪だから。お父さん(籠池前理事長)は立派。『記者会見頼むわ』て言って拘置所に行きました」

――判決中2人でずっと手を握っていましたね。

「お父さんの手が冷たかったからね」

――今の心境は?

「人生いろいろ、バラエティーに富んでいるわ」

籠池夫妻の法廷闘争は第2ラウンド、高裁に舞台を移す。

(相澤冬樹/大阪日々新聞・元NHK記者)