自閉症と遺伝子突然変異の関係突き止める 阪大研究チーム 治療薬開発に期待

自閉症に関わる遺伝子を突き止めたと、大阪大などの研究チームが発表した。この遺伝子は脳の正常な発達に必要で、突然変異が生じると神経細胞の成長が妨げられると確認できたという。治療薬の開発につながる成果として期待される。論文が26日、英電子科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。
自閉症は、他人との意思疎通が困難、こだわりが強いなど、さまざまな症状を示す。研究チームによると、胎児期からの脳の発達異常が原因と考えられ、約40人に1人が発症するとされるが、原因はほとんど分かっていない。
一部の自閉症患者で「POGZ(ポグジー)」という遺伝子に変異があることが知られている。研究チームが、突然変異でPOGZ遺伝子の働きが弱くなったマウスの脳を観察すると、通常のマウスに比べ神経細胞が少なかった。患者由来のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から神経細胞を作る実験でも、神経細胞の割合が低くなったという。
さらに、突然変異マウスは、同居する別のマウスに興味を持つ時間が減る▽反復行動や親マウスを呼ぶ回数が増える――など自閉症患者と似た行動をした。通常のマウスより大脳皮質が薄く、頭が小さい傾向もあり、自閉症患者が小頭症を併発する傾向にあることとも一致した。
POGZ遺伝子に変異がある患者は一部に限られるが、POGZ遺伝子の働きを解明すれば他の患者の発病原因の解明につながる可能性がある。チームの中澤敬信・大阪大大学院歯学研究科准教授(神経科学)は「POGZ遺伝子の変異で、神経回路が異常に活性化する。この活性を抑えられれば、自閉症の症状の一部を抑えられる可能性がある」と話している。【松本光樹】