千葉県野田市で2019年1月24日に小学4年の栗原心愛(みあ)さん(当時10歳)を虐待して死亡させたとして、傷害致死罪などに問われた父勇一郎被告(42)に対する千葉地裁(前田巌裁判長)の裁判員裁判で、被告の妻で女児の母親(33)の証人尋問が26日、始まった。母親は「心愛を助けてあげたくても(被告の)監視や束縛が強く何もすることができなかった。(被告に言ったら)心愛への虐待がもっとひどくなるのではと思った」と後悔の言葉を口にした。
母親は法廷に姿を見せずテレビ電話を通して証言。裁判官や裁判員、検察官、弁護人は手元のモニターを見ながら証言を聞いた。
母親は女児を出産後に被告と離婚。女児と実家のある沖縄県で暮らしていたが、16年に被告と復縁し、翌17年に次女を出産した。被告は女児と次女を連れて17年8月ごろ、野田市の祖父母宅に転居。母親も翌9月に同市に移り、市内のアパートで被告と娘2人と暮らすようになった。
母親は再婚後の被告について「LINEや電話で常に私の行動を確認してきた。平手でビンタされたり押し倒されたりした」と証言した。
再婚して被告と女児は8年ぶりに再会した。その時の様子について母親は「仲の良い親子に見えた」と言い、検察官に「虐待を疑うことはあったのか」と問われると、「まったくありませんでした」と答えた。質問にはっきりとした口調で答えた母親だったが、どのような暴力を受けたのか尋ねられると、数秒間押し黙ることもあった。
17年9月に再び一緒に住むようになった女児からは「毎日地獄だった。夜中にパパから起こされたり立たされたりした」と打ち明けられた。そうした行為について女児は「(被告が祖父らに)『本当に信じるのか』と言っていた。みーちゃんが悪者にされた」とも話したという。
母親は傷害ほう助罪で懲役2年6月、保護観察付き執行猶予5年の有罪判決が確定。判決は「夫の支配的な言動の強い影響により逆らうことは難しかった」とし被告からのドメスティックバイオレンス(DV)を認定している。
起訴状によると、被告は19年1月22~24日、女児に食事を与えず長時間立たせて十分な睡眠を取らせず、顔に冷水を浴びせるなどして24日夜に死亡させたなどとしている。被告は起訴内容の暴行部分をほぼ否認した。【加藤昌平、町野幸】